菊川怜「日本酒を新たな視点で学ぶことができた」映画『種まく旅人~醪のささやき~』トークイベントでクイズ対決をした石原良純に感謝
映画『種まく旅人~醪(もろみ)のささやき~』(10月10日公開)公開記念トークショー付き上映会が10月2日、ブロードメディア月島試写室にて開催され、主演の菊川怜、スペシャルゲストの石原良純が登壇。MCはきき酒師の漫才師にほんしゅのあさやんと北井一彰が務めた。
「映画を通して第1次産業のすばらしさや豊かさを伝えていきたい」という想いのもとに製作が始まった映画「種まく旅人」シリーズの5作目となる本作の舞台は兵庫県淡路島。淡路島で作られる日本酒と兵庫県を代表的な産地とする酒米・山田錦にフォーカスし、そこにかかわる人々のものづくりの精神と現場で起きている問題や葛藤をリアルに描き出す。菊川は日本酒を愛する農水省の地域調査官の神崎理恵を演じている。
10月1日は、日本酒造組合中央会が制定した「日本酒の日」で、その前後9月27日から10月5日までの10日間を「日本酒で乾杯!WEEK」として、日本酒の美味しさや乾杯の楽しさを参加者が体感するイベントが各地で開催されている。本イベントは「日本酒の日」と日本酒をテーマにした映画の公開を記念して開催され、トークショー前には劇中に登場する千年一酒造株式会社の法被を着用し、鏡開きを行った。
スペシャルゲストの石原は「おいしい日本酒が飲めると聞いて(イベントに)来ました」とご機嫌。菊川も「おいしい日本酒でおびき寄せました」とニヤリとするなど、冒頭から息の合ったトークで笑わせる。15年ぶりの映画出演にははプレッシャーを感じつつも、「こうやってみなさんの顔を見てお話をできることがうれしいです」とにっこりの菊川は、作品を通して「食のよろこび」を改めて実感したと熱弁。「日本酒なら、お米を作る人、お酒を作る人、いろいろな人がかかわって、汗水たらして、愛情を込めて作っています。いままではちょっとしかなかった感謝が、大きくなりました(笑)」と茶目っ気も交えながら、感想を素直に伝えた菊川は、「酒蔵が存続の危機に陥る物語です。いろいろな葛藤を乗り越えて、(伝統のものづくりが)守られていけばいいなと思いました。そういう気持ちが沸きあがりました」と作品から受け取った感情も明かし、大きな拍手を浴びていた。
大の日本酒好きである石原は作中でも触れられる外資系企業の参入にも触れ、「僕らが知らない日本酒の魅力に勘づかれて、外資が入ろうと画策しているのは、いま現実にあること」とし、「日本酒はのびしろがまだまだある。大小いろいろな蔵があって、全部がうまくいくかどうかはわからないけれど、切磋琢磨するうちに、確実に世界に羽ばたいていける酒だと思っています。それが日本酒です」と日本酒が直面する問題と可能性を解説。飲むだけでなく日本酒の現状も知る石原のコメントにMCのにほんしゅの2人が「どうして映画に出ていないのか不思議(笑)」とポロリ。すると石原は、フリートークならスラスラしゃべれるが、「セリフは覚えられないし、スラスラ言えない」と告白し、笑いを誘う場面もあった。
日本酒の好みについて「なんでも飲む」と答えた石原は、日本酒が作られている土地に行き、その土地のものを食べるのが一番とし、「土地の気候や風土が反映されているからです」とおすすめ。「スッキリ系が好き」だという菊川は「スルスルと飲めるのがいい。かといって軽いというのではなくて」とこだわりを明かしたうえで、「食事にどれを合わせるかを考えるのが楽しいし、誰と飲むか、なにと食べて飲むかもそうだし、雰囲気も大切です」と飲むシーンを想像し、笑顔を見せていた。「おいしい酒ができるには理由がある!」と切り出した石原は「都会にいれば、いろいろな日本酒が手に入る時代。ちょっとアンテナを張って、ラベルとかちょっといいなと思ったりしたものを飲んでみるといい。3本も飲めばおいしいもの、好みが見つかるはず!」と話し、おいしい日本酒、自分に合う日本酒を探す時に大切にすべきはインスピレーションだと語った。
イベント終盤には、日本酒雑学クイズにも挑戦。クイズは石原の勝利という結果になったが、最後の挨拶で菊川は、「良純さんに日本酒を違った視点から学ばせてもらいました」と感謝し、「日本酒はもちろん、ヒューマンドラマも描かれている映画です。日本酒に対する想い、感動的なストーリーも楽しんでください」と笑顔で呼びかけ、トークイベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ