ハン・ソヒ&チョン・ジョンソのシスターフッド・ノワールからハ・ジョンウの監督作も!第30回釜山国際映画祭を沸かせた日本未公開作品をご紹介

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失った恋を忘れられない人々の時間を描いた『Seven O′Clock Breakfast Club for the Brokenhearted』

『Seven O′Clock Breakfast Club for the Brokenhearted(原題:실연당한 사람들을 위한 일곱 시 조찬모임)』は、誰かとの別れで心に痛みを抱えた人たちが朝7時に集まる会が舞台だ。朝食をともにし、失恋映画を一緒に鑑賞し、互いの“失恋記念品”を交換し、悲しみの物語を共有することで癒やしを感じ合うこのグループで、恋人と別れた客室乗務員サガン(スジ)とコンサルタント講師のジフン(イ・ジヌク)が出会う。

失恋を忘れるためのヒーリングムービー『Seven O′Clock Breakfast Club for the Brokenhearted』
失恋を忘れるためのヒーリングムービー『Seven O′Clock Breakfast Club for the Brokenhearted』[c]釜山国際映画祭

記者会見には、イム・ソンエ監督、イ・ジヌクらが登場。監督は本作について「どんな傷であれ、生きていくなかで経験し得る痛みに埋もれてしまうのではなく、(終わってしまった)1つの扉を閉めて、その外にある世のなかの少し明るい場所へ向かう物語」と説明。会見では不在だったスジについては、「原作に初めて出合った4年前、作業を進める過程で少しつまずいていました。その時、スジさんが原作をご存知だと分かり、『(スジさんが)もし興味があれば一緒にやりたい』と思ってお会いしたんですが、彼女のほうから『やりたい』と言ってくれました」と、スジのキャスティングによって作品が動き出したと明かした。

イ・ジヌクは「監督からキャラクターに関する直接的なディレクションを言われるよりは、『このキャラクターをどんな感触で表現すべきか、それはどういう意味なのか』と、たくさん話し合った気がします。また、俳優として演じるうえで一番大事なのは、やはり過去の恋愛経験だと思っていて、これまでの恋愛の記憶を引き寄せて、訳に重ね合わせることもありました。僕を含めて大半の男性は、恋愛においてどうしても不器用にならざるを得ないところがあるんですよね。そういう話を、現場でも本当にたくさんしました」と、自身の恋愛論も笑いながら披露し、報道陣を沸かせた。

冷え切った夫婦仲を修復する取り戻す大胆な方法とは?ハ・ジョンウによる会話劇『The People Upstairs』

ハ・ジョンウの4作目の監督映画『The People Upstairs(原題:윗집 사람들)』。絵画教室の教師ジョンア(コン・ヒョジン)と冴えない独立映画監督ヒョンス(キム・ドンウク)は、仲が冷え切った夫婦。2人は上階の住人でセラピストのスギョン(イ・ハニ)とキム先生(ハ・ジョンウ)夫婦の性生活の騒々しさにうんざりしていた。

ある日、ジョンアは引っ越し工事の騒音を我慢してくれた上階の夫婦にお礼の意味を込めて夕食の席を設ける。性にオープンなキム先生たちの耳を疑う発言に、堅物のヒョンスは猛反発。夕食の時間はついに修羅場となり…。主演もバイプレイヤーもこなす演技巧者4人が織りなす軽妙な掛け合いが魅力のシチュエーションコメディを通し、夫婦の幸福な形を模索する。

ハ・ジョンウの監督としての意欲作『The People Upstairs』
ハ・ジョンウの監督としての意欲作『The People Upstairs』[c]釜山国際映画祭

オープントークには、監督と主演キム先生を務めたハ・ジョンウを筆頭に、コン・ヒョジン、キム・ドンウクが登壇。ハ・ジョンウは「スペイン映画『Sentimental(原題)』を原作にしており、出合ったのは3年前で、ワンシチュエーションとは思えないおもしろさに魅了されました」とし、「原作より多彩に構成しようと思いました。大人のいたずらな童話のような感じを与えるため、各チャプターに挿絵も入れました」と、原作との差異やこだわりの小道具について紹介した。

ハ・ジョンウとコン・ヒョジンはお揃いのサングラスで登場し仲良しぶりをアピール
ハ・ジョンウとコン・ヒョジンはお揃いのサングラスで登場し仲良しぶりをアピール[c]釜山国際映画祭


キム・ドンウクは「ハ・ジョンウさんが、最近俳優としてはあまり見せていなかった茶目っ気が見られる」と観客の期待を刺激した。ハ・ジョンウと『ラブ・フィクション』(11)以来のタッグを組んだコン・ヒョジンは、「あの頃は本当に若くて演技が難しいと思いましたし、私もハ・ジョンウさんも撮影しながら『男性と女性が恋愛する時の心理って本当に違うんだな』と話していました」と回想。そして「今回こうして長い時間を経て監督としてお会いしました。私もあの頃よりずっと良くなって、監督にご満足いただける、進化した演技を披露できたんじゃないかなと思います」と自信をのぞかせた。


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