ハン・ソヒ&チョン・ジョンソのシスターフッド・ノワールからハ・ジョンウの監督作も!第30回釜山国際映画祭を沸かせた日本未公開作品をご紹介

ハン・ソヒ&チョン・ジョンソのシスターフッド・ノワールからハ・ジョンウの監督作も!第30回釜山国際映画祭を沸かせた日本未公開作品をご紹介

先日盛況のうちに幕を閉じた第30回釜山国際映画祭(以下BIFF)。今年も世界中の韓国映画ファンの胸を熱くさせる話題作が目白押しだった。今回は映画祭を沸かせた、日本公開が期待される話題作をピックアップしてご紹介しよう。

ハン・ソヒ&チョン・ジョンソによる女性たちのノワール『PROJECT Y』

来年2026年1月23日に日本公開が決定した『PROJECT Y』は、繁華街でホステスとして働きながらいつかは明るい世界で暮らすことを夢見るミソン(ハン・ソヒ)と、ドライバーのドギョン(チョン・ジョンソ)によるシスターフッド・クライム・ムービーだ。

【写真を見る】『PROJECT Y』ハン・ソヒやチョン・ジョンソのファッションにも注目してほしい!
【写真を見る】『PROJECT Y』ハン・ソヒやチョン・ジョンソのファッションにも注目してほしい![c]釜山国際映画祭

BIFFのオープントークでは、イ・ファン監督、ハン・ソヒ、チョン・ジョンソ、キム・ソンチョル、チョン・ヨンジュらが登壇。監督は俳優陣のキャスティングのエピソードについて、シナリオ執筆の段階から、ミソンとドギョンを圧倒的な説得力で演技してくれる俳優を考えたうえで、主演2人にオファーを出したと明かした。また、キム・ソンチョルについては「普段の彼から想像できない一面を持つキャラだったからこそおもしろいと思いました」と話し、チョン・ヨンジュについては「ルックスについて大きな決断をしなければならないキャラだが、快く承諾してくれました」と振り返った。

ハン・ソヒは本作を「時代のなかを這うように生きる若者たちのストーリーだと感じました」とコメント。チョン・ジョンソは「同い年の友人である女性とダブル主演として作品を作るのは、韓国映画で簡単に実現できることではない。だからこそやらなければと思いました」と語り、作品への期待感をあおった。

実際のハイジャック事件を元にした緊迫のフィクション『グッドニュース』

10月17日より配信されるNetflix映画『グッドニュース』。日本でよど号事件として知られる実際の航空機ハイジャック事件を映画化したユニークなブラックコメディだ。1970年3月、日本共産主義同盟赤軍派が平壌へ向かうため日本航空の飛行機を乗っ取っられたことから前代未聞の救出劇がスタートする。

ビョン・ソンヒョン監督ならではの社会派ブラックコメディ『グッドニュース』
ビョン・ソンヒョン監督ならではの社会派ブラックコメディ『グッドニュース』[c]釜山国際映画祭

記者会見でビョン・ヒョンソン監督は「タイトルの“ニュース”というのはストーリーの“決着”を示します。本作は実話をもとにしているので、“決着”はそのままに、そこへ至るまでの過程を、事実を損なわない範囲でフィクションとして描きました」とし、「劇中『あしたのジョー』が出てきますが、個人的に大好きな作品で。使用許諾のため出版社と原作者の方に手書きの手紙をお送りすると、私の演出意図を汲み取って快諾してくださった」と秘話を明かした。

今回が4度目のタッグとなるソル・ギョングについては、「(起用し続けるのは)好きだからです。先輩としても、兄貴としても…ただ好きなんです」と心のこもった愛の告白。思わずソル・ギョングが照れ笑いする一幕となった。

正体不明のトラブルシューター・アムゲを演じたソル・ギョングは「監督がキャラクターを造形する際、あえて中身については細かく固めずにいたようで、現場で互いに探り合いながら作り上げていきました」とし、「どこか演劇的にオーバーな部分もとてもあったと思いますが、監督から『普通とは違う演技をしてほしい』『もっと軽やかに』という指示があり、正常と異常を行き来しながら、そのわずかな差を見せたいと思いました」と話した。

また、「ディレクションは監督が決めて、個々のキャラクターの連結によって全体が構成されていく感覚でした。みんなで腰を据えて話し合いながら、作品を作りました」と現場の雰囲気を明かした。

記者会見に登場したビョン・ヒョンソン監督、ソル・ギョング、ホン・ギョン、山田孝之
記者会見に登場したビョン・ヒョンソン監督、ソル・ギョング、ホン・ギョン、山田孝之[c]釜山国際映画祭

ホン・ギョンは、自分が演じたソ・ゴミョン役について「ソ・ゴミョンは実在した重要な人物だったので、役作りには慎重になりました。ただ、本作は実話をもとにしつつも、監督の想像力で完成させたフィクションでもあるので、監督が“ソ・ゴミョン”をどう解釈するか、自由度が高いからこそ悩みました」と語った。劇中で彼は日本語のセリフを披露するが、監督によると、「相手の俳優たちの言葉をちゃんと感じたい」と、ひらがなから勉強するほど熱意を見せたという。

キム・ダミが地球を救う鍵に?!SFディザスタームービー『大洪水』

Netflix映画として12月19日より配信スタートする、キム・ダミ主演の『大洪水』。隕石の衝突で地球は急激な温暖化が発生し、巨大洪水により世界が被害を受けた。水没したマンションの住人アンナ(キム・ダミ)は、死にものぐるいで息子を救おうとする。同時にアンナは、自身が滅亡の危機にある世界で人類救済の重要な鍵を握っていることを知らされるが…。

キム・ダミが母親役として新境地を見せた『大洪水』
キム・ダミが母親役として新境地を見せた『大洪水』[c]釜山国際映画祭

今回母親役を演じたキム・ダミはオープントークで、「アンナの性格は後半になるにつれ変化し、時間とともに成長していくようになる」と話し、最後まで見てこそ楽しめることをアピール。

「大きなスクリーンで観て頂けて嬉しい」とキム・ダミ
「大きなスクリーンで観て頂けて嬉しい」とキム・ダミ[c]釜山国際映画祭


さらに、ディザスタームービーであるだけに「あれほど大量の水が出てくるとは思わなかったし、想像以上でした。水に慣れるため撮影の前にスキューバダイビングと水泳を練習し、水の中での動作なども学びました。実際に水中にはいなくても極限の瞬間を表現するため、顔の表情や感情を作る研究もしました」と、並々ならぬ努力をした撮影だったことを振り返った。


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