こだわりのサウンドとビジュアルで『秒速5センチメートル』を紡いだ奥山由之監督が信じる映画の力「世界の多面性に気づかされる」【連載「I’m a moviegoer」】
「moviegoer(ムービーゴーアー)」という言葉をご存知だろうか?映画館に行くという行為から生まれたこの単語は、「よく映画を観に行く人、映画ファン」という意味で、海外では広く使われている。この言葉をキーワードに、“映画ファンの皆さんに、もっと映画館で映画を観てほしい”という想いから「グランドシネマサンシャイン 池袋」が劇場オリジナルグッズとして展開している企画が、「I’m a moviegoer」だ。
この企画では、映画館で観ることのすばらしさをより伝えていくべく、自他ともに認める「moviegoer」な映画監督に「I’m a moviegoer」と直筆メッセージをもらい、そのオリジナルグッズをグランドシネマサンシャイン 池袋とMOVIE WALKER STORE限定で販売する。
山崎貴監督、白石晃士監督に続く第3弾となる今回メッセージをもらい、インタビューに応えてくれたのは写真家としても活躍し、新海誠監督の名作アニメーション『秒速5センチメートル』の実写化に挑んだ新鋭、奥山由之監督。“moviegoer”としての思い出や映画体験や映像クリエイターとしての目覚め、劇場鑑賞時のこだわりを語ってくれた。
「2000年前後に映画を作り始めた人たちの初期作品には思い入れが強いです」
――奥山さんは東京の生まれ育ちですよね。最初の映画館体験について教えてください。
「鮮明に覚えているのは『チキンラン』ですね。小学5年生のころで、いまのBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下の場所にあった映画館(渋谷TOEI)で観た記憶があります。そこからアードマン・アニメーションズの作品が大好きになって、『ウォレスとグルミット』シリーズにものめり込んで。ついには自分でストップモーションアニメを作るようになりましたから」
――小学生のころにですか?
「自分で作るようになったのは中学校に入ってからです。子どもでも簡単に使えるクレイアニメの専用ソフトを利用して撮っていたんですけど、動作一つに何百枚もの画が必要になるので、5分の作品が限界でした(笑)。それ以前にも家族で映画館には行っていたはずなんですけど、明確に衝撃を受けたのは『チキンラン』が最初でしたね。アナログのキャラクターがCG技術と混在していて、質感がすごく新鮮でした。ちょうどアナログとデジタルの過渡期に思春期を迎えたんですが、当時の映像体験の影響はいまでも大きいと思います」
――『チキンラン』は2000年の作品(日本公開は2001年4月)。今回の奥山さんの監督作『秒速5センチメートル』(以下『秒速』)は1991年から2009年を背景に、小学校で出会った貴樹(松村北斗)と明里(高畑充希)の物語。まさにその時代性と重なりますね。
「そうですね。そのころ、もう一つ大きかったのはミュージックビデオです。衛星放送でMTVを良く観ていて、スパイク・ジョーンズやミシェル・ゴンドリーらが撮ったビデオが大好きになりました。のちに彼らは映画監督としてデビューしていきますが、『マルコヴィッチの穴』(ジョーンズ)とか『エターナル・サンシャイン』(ゴンドリー)とか、脚本をチャーリー・カウフマンが書いていることが多かったじゃないですか。カウフマンの現実と想像的な非現実を行き交う作風にはずっと惹かれていますね。他にもポール・トーマス・アンダーソン、マイク・ミルズ、デヴィッド・フィンチャーなど、2000年前後に映画を作り始めた人たちの初期作品には思い入れが強いです。理由はうまく言語化できないんですけど、あの時代特有のなにかが宿っている気がします」
カラー:ホワイト・ブラック・ヘイジーネイビー
サイズ:M、L、XL
販売価格:5,500円(税込)
発売店舗:
(オンライン販売)MOVIE WALKER STORE ※10月10日 10:00~予約販売
https://store.moviewalker.jp/item/detail/3176
(店頭販売)グランドシネマサンシャイン池袋 4Fストア 10月10日劇場オープン時より発売
https://www.cinemasunshine.co.jp/theater/gdcs/
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