Aぇ! group佐野晶哉『トリツカレ男』のアフレコは「監督の思い描くジュセッペを探す旅」プレミア上映会で上白石萌歌と心温まるデュエットも披露
映画『トリツカレ男』(11月7日公開)のプレミア上映会が9月30日、イイノホールにて開催され、佐野晶哉(Aぇ! group) 、上白石萌歌、柿澤勇人、Awesome City Clubが登壇。Awesome City Clubはオープニングで主題歌「ファンファーレ」を、佐野、上白石、柿澤ら声優キャストは劇中歌の「Snowish」「ファンファーレ〜恋に浮かれて〜」をメドレーで披露した。
本作の主人公ジュゼッペは、ひとたびなにかに夢中になると、ほかのことが目に入らなくなってしまい、街のみんなからは”トリツカレ男”と呼ばれている。そんなジュゼッペが公園で風船売りをしているペチカにひと目惚れ。勇気を出してペチカに話しかけたジュゼッペだったが、ペチカの心には悲しみがあった。大好きなペチカのため、相棒のシエロと共に、彼女が抱える心配事を、これまでとりつかれた数々の技を使ってこっそり解決していく…という物語が展開する。
世界最速で本作が観られる試写会が開催されたことについて佐野は「やっと観てもらえる!」という気持ちと満面の笑み。「日本中から愛されるような作品になってほしい」と期待を込め、完成作には「自信しかないです!」と力強く語り大きな拍手を浴びる。
上白石は試写で本作を鑑賞した時のことを振り返り「試写室を出た時に、目に入るものすべてが美しく愛おしく見えるような、心が洗濯されるような作品になっていると感じました。心がポカポカするような作品です!」と笑顔でおすすめ。柿澤は「誰かが誰かのことを常に想っている、誰かが誰かを思う気持ちにあふれている作品です。温い(ぬくい)なにかが観た方に届くと信じています!」と鑑賞後には温かさを感じるような作品になっていると魅力をアピールしていた。
Awesome City Clubのatagiは冒頭での主題歌披露について「みなさんに気持ちよく聴いていただいて、やっと幕が切れた!とホッとしています」と感謝。「目の前にいる方に真っ直ぐに届いて欲しいというピュアな気持ちで歌うようにしている」と語ったPORINが「普段はライブハウスで歌っているので、こういう環境で歌うのは貴重。(想いが)届いてくれたらうれしいです」と呼びかけると会場は拍手に包まれる。「楽しかったですか?」と観客に問いかけたモリシーは、観客からの「楽しかった!」の声に安堵し、「意外と(客席との)距離が近い会場で、みんなの顔が見えました」とパフォーマンス時の様子を伝え、楽しんでいる表情をじっくり見ていたとも話していた。
ジュゼッペ役の佐野は「めちゃくちゃかわいくて魅力的なキャラクターです」とお気に入りの様子。「いろいろなことに夢中になるジュゼッペの人生がどれだけすてきなものなのか、そんなことを想像しながら声を表現した」とアフレコを振り返った佐野は、歌のレコーディングについて、「何度もテイクを重ねて、やっとみんなが納得のいくものができたと感じた時に、監督から『ジュゼッペじゃないねえ』と言われたことがあって。監督の頭の中のジュゼッペを探しにいくような旅でした」と試行錯誤したことを打ち明けるも、充実した時間であったことが伝わってくる表情を見せていた。
絵コンテを見た時にひと目惚れをしたと明かした上白石は「クリっとした目、艶やかな髪。ミステリアスですが、ジュゼッペと出会い、雪が溶けていくように心を解放していくような女の子です」と演じたペチカの魅力を自身の感想を添えて紹介。「ペチカは秘密が多い(キャラクター)。知らない街に来て孤独に暮らしている女の子が、太陽のようなジュゼッペに出会って、心が溶けていく物語です」と愛おしそうにストーリーを説明する。
ジュゼッペの相棒のシエロ役の柿澤は映画の声優初挑戦のアフレコを振り返り、「右も左もわからない。心配性だから、声優の友達に連絡して『どうしよう!』って相談しました」と告白。その友達が声優の梶裕貴だと明かした柿澤は、映像を見ながら台本に自分のセリフをしゃべり出す場所をすべて書き込むように教えてもらったと報告したが、佐野と上白石から「初挑戦の振る舞いじゃなかった」「初めてだったのを取材で知った」といった声が飛び出すほど、慣れた様子でアフレコに臨んでいたと指摘される場面も。「(しゃべり出しの時間を)書き込むのが正解かどうかもわからなかったけれど…」と話した柿澤に佐野は「僕も初めての時はタイム、書きました」と同じスタイルで挑んだことを明かし、「それを教えてくれたのは声優の津田健次郎さんです!」とこちらも、人気声優からのアドバイスだったようで、「タイムを書かないと僕らにはムリ!」と声を揃え、2人で顔を見合わせて深く頷いていた。
イベントでは、”トリツカレ男”ジュゼッペにちなみ、現在とりつかれているものを発表するコーナーも。「麻辣湯」にハマっているという柿澤は「麻辣湯さえ食べておけば、とりあえず健康だろうという理由」とニヤリ。続けて「火鍋系が好き。薬膳とかも好き。昨日は一人でしゃぶしゃぶに行って、火鍋にして野菜を入れて食べました。ここ2年くらいハマっていています」とすっかり魅了されているようで、「こんなにお店が増える前から麻辣湯が好き。週に2回、暑い時も寒い時も関係なく行きます!」とハマりっぷりを披露していた。
同じく「麻辣湯」が好きだという上白石だが、取材ですでに答えてしまった回答で、柿澤とも被ったことを考慮し、「今日は、切手にします!」と別のハマりものを挙げる。特に好きなのは「古い切手」と語った上白石は「海外の古い切手が好き。切手はその時にあった出来事や、流行っていたものが凝縮されているので、眺めているだけでも好きです」と笑顔を見せる。手紙を書くことも多いそうだが、「切手を張るために書いているところがある」とも茶目っ気たっぷりに語っていた。
佐野は「僕は『adieu』にハマっています」と上白石が歌手活動する際のアーティスト名を挙げる。「曲もいいし、歌もすてき」と絶賛。さらに「普段、お芝居をしているからこその曲の主人公になり切って、曲を生きているようなドラマ性がある」とadieuの魅力を熱弁すると、会場からは自然と拍手が沸き起こり、上白石はうれしそうに微笑む。佐野と柿澤は2人でadieuのライブに行ったそうで、柿澤が「佐野くんが前のめりになって、僕は前が見えないくらいでした」とハマっていた様子を伝えると、「その場で言ってよ~!」と返した佐野に対し柿澤が「とりつかれていました」と付け加え、笑いを誘う場面もあった。
最後の挨拶で上白石は「人が人を思う尽くしさがたっぷり詰まっている作品です。目の前の景色がクリアになったり、誰かに優しくしたくなるようなやわらかな心になれる作品です」とおすすめ。佐野は「作品を観たら恋をしたくなる!なにかを好きになることのすばらしさを感じてもらえるような作品で楽しめるはずです。老若男女楽しめるから、誰と観ても楽しめます。作品を全身に浴びてトリツカレた人は、何度も観てください!」と呼びかけ、温かな雰囲気に包まれたイベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ