ホン・ギョン、ノ・ユンソ、キム・ミンジュが明かす『君の声を聴かせて』の魅力と撮影現場で学んだこととは?
「怖いという気持ちよりも、やってみようという気持ちが大きかったです」(キム・ミンジュ)
――『君の声を聴かせて』は、3人が本当の自分や夢について気づきを得るストーリーですが、演じた皆さんにとっても新たなチャレンジだったのではないかと思います。ホン・ギョンさんは今回が初のラブストーリー主演作。“リアルな彼氏像”を描いたと監督が語っていますが、ご自身の恋愛スタイルを投影した部分はありますか?
ホン・ギョン「ああ…僕の恋愛スタイルと似ているところですか?(笑)ヨンジュンは、初めて経験する感情の前で、とても正直に、自分の気持ちをそのまま表すタイプ。相手に負担をかけないように境界線を守りながら、繊細に。そこがすごくいいと思いました。でも僕自身は、ヨンジュンほどの勇気はありません。好きな人ができても、そんなにすぐに近づくことはできない。だからその点は違うと思います。ラブストーリーを演じるのは新鮮でした。これまでの作品では、女性の俳優さんとペアになって演じることがほとんどなかった。だから、作品のふんわりした空気感を、一緒に作るのが楽しかったです」
――キム・ミンジュさんは、撮影前は泳げなかったそうですが、短期間で水泳選手の泳ぎ方をマスターされたと伺いました。その努力の過程を振り返っていかがですか。
キム・ミンジュ「もともと水が少し怖いタイプだったので、最初は、短期間でマスターしなければというプレッシャーがありました。水にできるだけ慣れるために、何度も繰り返し練習しました。ガウルになりきるために、実際の選手の腕の角度やフォームを先生と合わせながら作り上げていきました」
――ガウルは芯の強い人物として描かれていますが、ミンジュさんご自身も元IZ*ONEでの経験や、オーディションを勝ち抜いてきた経験があります。そうした経験が演技に影響を与えた部分もあるのでは。
キム・ミンジュ「幼い頃からなにかに挑戦する経験が多かったので、新しいことに対する恐怖心はあまりないように思います。それが大きな助けになったのではないでしょうか。今回も、手話を学んだり、この映画にチャレンジしたりしながら、怖いという気持ちよりも、やってみようという気持ちが大きかったと思います。すごく良い経験になりました」
「3人それぞれが影響を与え合って、最高の作品を作ることができたと思います」(ホン・ギョン)
――ノ・ユンソさんは、本作で百想芸術大賞映画部門の新人演技賞を受賞されましたね。
ホン・ギョン、キム・ミンジュ「(拍手)」
ノ・ユンソ「賞をいただいた時は、本当に信じられませんでした。ですが、その後は賞にふさわしい人にならなければと思うようになりました。信じてくださった分、与えていただいた分、それ以上にふさわしい俳優になれるように、自分自身を裏切らないようにしなければ、と。そればかりを考えていました」
ホン・ギョン「すばらしい!カッコいい!(日本語で)」
――最後に、共演を経て、俳優として互いに学んだことを教えてください。
ノ・ユンソ「ホン・ギョン兄さんは、とても繊細で深みがある俳優。シナリオには書かれていないキャラクターを立体化させていく姿を間近に見て、本当に多くを学びました。ミンジュは与えてくれるエネルギーがすごく大きくて、目の輝きもとても強く、圧倒されるほどでした。そのエネルギーを受け取って、私もより自然に演じることができました」
キム・ミンジュ「ホン・ギョン兄さんからは、ディテールにこだわる姿勢を学びました。ユンソ姉さんは、感情的に大きなエネルギーを与えてくれる。そのおかげで私もより自然な姿をカメラの前で出すことができました」
ホン・ギョン「この映画は、ヨルムの人生を中心にした群像劇だと感じました。主人公として備えていなければならない何か、芯のようなものがあると思うのですが、ユンソはそういう部分をとても上手く掴んでいた。軸がしっかりした物語に仕上がったのは、ユンソの力が大きかったのではないでしょうか。ミンジュは、没入度が本当にすばらしい。一瞬でシーンに入り込んでリアクションをする力に驚きました。1人で現場の雰囲気を全部作り出してしまうほど。3人それぞれが影響を与え合って、最高の作品を作ることができたと思います」
取材・文/桑畑 優香