「正しいのは俺だけだ」──『エディントンへようこそ』“炎上スリラー”予告&狂気と混沌シーンカット
『ヘレディタリー/継承』(18)、『ミッドサマー』(19)、『ボーはおそれている』(23)に続き、アリ・アスター監督がA24とのタッグで送るホアキン・フェニックス主演映画『エディントンへようこそ』が12月12日(金)より公開される。このたび、“炎上スリラー“予告編映像と、場面写真が解禁された。
物語の舞台は2020年、ニューメキシコ州の小さな町、エディントン。コロナ禍で町はロックダウンされ、息苦しい隔離生活のなか、住民たちの不満と不安は爆発寸前。保安官ジョー(フェニックス)は、IT企業誘致で町を“救おう”とする野心家の市長テッド(ペドロ・パスカル)と“マスクをするしない”の小競り合いから対立し「俺が市長になる!」と突如、市長選に立候補する。ジョーとテッドのいさかいの火は周囲に広がっていき、SNSはフェイクニュースと憎悪で大炎上。同じころ、ジョーの妻ルイーズ(エマ・ストーン)は、カルト集団の教祖ヴァーノン(オースティン・バトラー)の扇動動画に心を奪われ、陰謀論にハマっていく。
映像は、保安官ジョーが市長テッドと小競り合いする様子から幕を開ける。街ではコロナ検査で移動が制限され、どこに行くにもマスク着用が必須という息苦しい日常が続く。NOマスク主義のジョーは、マスクするしないのいさかいから「俺の方が遥かに優れた人間」と宣言し、徹底的なコロナ政策がポリシーの現市長に挑むため、選挙戦に立候補。自らカスタムした選挙カーを走らせ、“(ロックダウンされた)閉ざされた町”で小さな戦いを仕掛けていく。
「みんなに監視されている」とうつろな目で訴え、陰謀論に取り憑かれていくジョーの妻に、「あなたの痛みは偶然ではない」と寄り添う言葉で住民を煽動する過激なカルト集団の教祖、さらには収束の気配を見せない暴動や、炎にあぶりだされる謎の文字「“平和なし”」。次々とイカれた人々が現れ、状況は徐々に混沌を極めていく。ついには、他人を思いやろうという発言のそばから「正しいのは俺だけだ」と、マシンガンをぶっ放すジョーの狂気の姿が。暴力、陰謀、SNSの暴走と、すべての火種が一気に燃え広がり、誰も逃れられない衝撃の“炎上スリラー”予告映像となった。
あわせて解禁された場面写真では、エディントンの町中でディスタンスをとりながら口論をするジョーとテッド、燃えさかる炎の最中で、誰かに向かって銃口を向けるジョーのほか、ド派手なパネルの前で熱狂的な演説を繰り広げるカルト教団の教祖ヴァーノン、そして妻ルイーズと市長テッドの姿などが写しだされている。狂気と混沌が渦巻くロックダウンされた町エディントンのカオスを捉えたカットとなっている。
本年度のカンヌ国際映画祭でコンペティション部門に招待され、世界中で話題沸騰の本作。主演を務めるのは『ジョーカー』(19)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したフェニックス、前作『ボーはおそれている』に続くアスター監督とのタッグとなる。共演には、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(25)やA24史上No.3の大ヒットを記録したロマンティックコメディ『Materialists(原題)』(25)などで人気急上昇中のパスカル、『ラ・ラ・ランド』(16)、『哀れなるものたち』(23)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したストーン、『エルヴィス』(22)でゴールデングローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)を受賞したバトラー。さらに、ゴールデングローブ賞受賞の大ヒットドラマ「イエローストーン」シリーズのルーク・グライムス、トニー賞受賞のディードル・オコンネル、『ブルー・ストーリー』(19)で英国アカデミー賞EEライジング・スター賞受賞のマイケル・ウォードら実力派が揃い、アスター作品史上最も豪華なアンサンブルが実現した。
エディントンの選挙戦は、疑いと論争と憤怒が渦を巻き、暴力が暴力を呼び、批判と陰謀が真実を覆い尽くすが、この先はあるのか?エディントンの町と住人は、誰も予想できない破滅の淵へと突き進んでいく。暴力、陰謀論、SNSの暴走がすべてを焼き尽くす“炎上スリラー『エディントンへようこそ』に乞うご期待。
文/山崎伸子