懐かしくもロマンティックな世界観!『テレビの中に入りたい』本編シーン

懐かしくもロマンティックな世界観!『テレビの中に入りたい』本編シーン

第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品のA24製作映画『テレビの中に入りたい』が9月26日(金)より公開される。音楽と映像が融合した、懐かしくもロマンティックな本作。このたび、オシャレでポップな本編シーン映像が解禁された。

【写真を見る】全米で中毒者が続出!オシャレでポップな世界観
【写真を見る】全米で中毒者が続出!オシャレでポップな世界観[c] 2023 PINK OPAQUE RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

第74回ベルリン国際映画祭をはじめ、数々の映画祭で上映されると「唯一無二の傑作」「変幻自在の不穏さ」「型破りな映画」「この作品を表すのに“リンチ的”という言葉を使いたい」と絶賛され、全米公開では熱狂する若者たちが続出。公開から1周年記念で新たなグッズが発売されるなど、続々と“中毒者”を生み出し続けている『テレビの中に入りたい』は、1990年代のアメリカ郊外を舞台に、自分のアイデンティティにもがく若者たちの“自分探し”について描く物語だ。郊外での日々をただやり過ごしているティーンエージャーのオーウェンにとって、謎めいた深夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」は生きづらい現実世界を忘れさせてくれる唯一の居場所だった。同じくこの番組に夢中になっていたマディとともに、2人は次第に番組の登場人物と自分たちを重ねるようになっていく。閉塞した日常をやり過ごしながら、自分のアイデンティティにもがく若者たちの、せつなく幻想的な青春メランコリック・スリラーが魅惑の映像世界と共に展開する。

A24と俳優エマ・ストーンが設立した映画制作会社フルーツ・ツリーが共同製作を務める多様な魅力と美点を兼ね備えた本作は、2024年サンダンス映画祭のミッドナイト部門でプレミア上映されて以降、第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品、第40回インディペンデント・スピリット賞では作品賞を含む主要5部門にノミネートされるなど批評家たちを虜にし、全米では2024年5月3日、4館での限定公開から始まると瞬く間に評判を呼び、5月17日には469館に拡大。ストーンが惚れ込んだ注目の新進気鋭ジェーン・シェーンブルン監督による特異な吸引力に満ちた本作は、世界中に熱狂的なファンを生み出している。

解禁されたのは、ハイスクールの廊下を歩くオーウェンの後ろ姿をワンカットで追っていく本編シーン映像だ。映像の冒頭では、1990年代を思わせる懐かしのVHSテープのイラストに、「*episode 307*homecoming to get you(“307話 君を迎えに”)」とピンク色で描かれ、オーウェンとマディを夢中にさせる深夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」の各週のタイトルが画面に描かれていく。これは、家が厳しいためリアルタイムに「ピンク・オペーク」を観られないオーウェンのためにマディがビデオを毎週貸しているときのメッセージだ。

「“次回は神話の回らしい”」「“406話 タラとのトラブル」「“イザベルの魔法のドレス”」「“シーズン2最終話 号泣必至”」「“202話傷洗いへようこそ…”」「“111話イザベルの崇拝者”」と、1人で孤独そうに学校の廊下を歩くオーウェンを、ピンク色に輝くポップでビビッドな落書き風のイラストが彩っていく。そしてバックに流れるのは、幼少期に日本で暮らしていた経験もあるポップアーティスト、キャロライン・ポラチェックの楽曲「Starburned and Unkissed」。ここではないどこかへ行きたいけどどこへも行けない、葛藤を抱えたオーウェンの繊細な心情とメロディアスな楽曲が重なっていく。

「様々な形で音楽は私にとっての『ピンク・オペーク』でした。音楽は若い頃の隠れ場所であり、自分自身や自分の心を見つける場所でした。だからこの映画で、本当に美しくてゴージャスな音楽をたくさん使いたかったんです。とてもロマンチックで10代の不安を歌った音楽です」とシェーンブルン監督も語っている通り、映像と音楽が融合した監督こだわりのシーンとなっており、さらに画面には“イザベルとタラ 精神の地平”“2人は特別ってこと!”という落書きにあわせて、「ピンク・オペーク」に登場するオバケのような不思議で可愛いアイコンマークの姿も。そして“イザベルとタラは私の家族同然”という文字が印象的に映しだされる。

孤独なティーンエージャーがクラスメイトから深夜の謎めいたテレビ番組のことを聞き、番組の中の世界を現実よりリアルに感じ始める本作は、1990年代半ば、主人公が成長していく心揺さぶる不可思議な物語で、数十年にわたって不吉な予感が漂い、やがて限界へと達することに。


“本当の自分”を知りたい気持ちと、それを知ることの怖さとの狭間で身動きができないまま、時間だけが過ぎていく。「本当の僕は、どこにいる?」 ピンク色に光る闇のなかに、あなたも引き込まれるかもしれないA24最新作『テレビの中に入りたい』を、ぜひ映画館でご覧いただきたい。

文/山崎伸子

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