世界中で大旋風のNetflixアニメ映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が快挙!イベント上映で北米週末興収No. 1の座に

世界中で大旋風のNetflixアニメ映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が快挙!イベント上映で北米週末興収No. 1の座に

先週末(8月22日から8月24日まで)の北米興収ランキングは、ソニー・ピクチャーズ・アニメーション制作によるNetflix映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(配信中)が初登場No. 1を獲得。いまや世界最大手の配信サービスのひとつであるNetflix。そのオリジナル作品が週末興収ランキングで首位を飾るのは初めてのことだ。

【写真を見る】配信10週間で全世界視聴数の新記録を樹立!全世界のチャートを席巻する楽曲で、オスカーを狙う
【写真を見る】配信10週間で全世界視聴数の新記録を樹立!全世界のチャートを席巻する楽曲で、オスカーを狙う[c]Everett Collection/AFLO

というのも、そもそもNetflixは(配信サービスなので当然といえば当然だが)劇場公開に積極的でなく、これまで配信と同タイミングか先行するかたちで劇場公開に踏み切った作品の多くが、興収ではなくアカデミー賞のノミネートに必要な資格要件を満たすことを目的としていた。そのため、スタジオ側からの正確な興収額の発表はなく、今回の『KPOPガールズ!』のNo. 1も推定値によるものだというのは最初に説明しておく必要があるだろう。

しかも通常の劇場公開ではなく、劇中に登場する楽曲の歌詞が表示され一緒に歌いながら鑑賞できるという“シングアロング版”であり、あくまでも8月23日と8月24日の週末2日間限定のイベント上映。BoxOfficeMojoで発表されている推定興収は、土曜日が960万ドル、日曜日が840万ドルで計1800万ドル。別のメディアの報道では1920万ドルとも伝えられており、確実なことは北米1700館で上映され、都市部を中心に満席が相次ぐ大盛況だったということである。

謎の脅威“デーモン”と戦うKPOPガールズグループの前に、思わぬ強敵が出現!
謎の脅威“デーモン”と戦うKPOPガールズグループの前に、思わぬ強敵が出現![c]Everett Collection/AFLO

迫り来る謎の脅威と戦う凄腕の“デーモン・ハンターズ”という顔を持つ人気KPOPガールズグループ「Huntr/x」のメンバーたちの活躍を描いた本作は、すでに6月から全世界配信されている。配信からわずか1か月でオリジナルアニメ映画の視聴数新記録を更新し、10週間での全世界視聴数は2億3600万回。これは91日間で2億3090万回だった『レッド・ノーティス』(21)を上回り、Netflixオリジナル映画全体の最高記録。まさに世界規模で社会現象を巻き起こしている一本だ。

その6月の時点で、ロサンゼルスとニューヨーク、サンフランシスコの計3館で1週間の劇場上映が行われており(例によって興収情報は発表されていない)、それをもって第98回アカデミー賞への資格要件を満たしている。Netflixのアニメ映画は近6年で8作品が長編アニメ映画賞にノミネートされる、まさに常連。本作も同部門へのエントリーは確実だが、ノミネートを狙ったキャンペーンが本格化するかは11月に劇場公開と配信が控える『イン・ユア・ドリームズ:願いがかなうなら』の反応次第とみられている。

今回劇場上映された“シングアロング版”も、すでにNetflixで配信中
今回劇場上映された“シングアロング版”も、すでにNetflixで配信中[c]Everett Collection/AFLO

『KPOPガールズ!』が狙っているのはおそらく、長編アニメ映画賞ではなく歌曲賞。こちらの部門でもNetflixは第90回以降の8年間で5年、8作品から9ノミネートを獲得している。批評集積サイト「ロッテン・トマト」を参照すると、批評家からの好意的評価は97%で観客からが98%と非常に高い。年末から年明けにかけて本格化する賞レースのアニメ部門と歌曲部門で大旋風を起こし、さらなる盛り上がりをみせることだろう。

ところで、13位にランクインした『ナタ 魔童の大暴れ』もこれが“2度目の上映”となった。2月に北米公開された際は中国語版で、週末の最高位は5位で興収はおよそ2000万ドルほど。今回A24の配給のもとで上映されているのは英語吹替え版で、ミシェル・ヨーらがボイスキャストとして参戦。

歴史的メガヒットの『ナタ 魔童の大暴れ』が英語吹替え版で再上映!
歴史的メガヒットの『ナタ 魔童の大暴れ』が英語吹替え版で再上映![c]Everett Collection/AFLO

上映館数は2228館と2月時の945館から急増したものの、週末3日間の興収は154万ドルと平凡。やはりアジア映画を観る観客層のほとんどは字幕に慣れているのだろうか。すでに中国国内で動員3億2400万人、興収は154億4000万元(約21億3000万ドル)にのぼり、全世界興収は「アバター」2作と『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)、『タイタニック』(97)に次ぐ21億5000万ドル。英語版の伸び悩みは、本作にとってかすり傷にもならないだろう。


文/久保田 和馬

関連作品