松村北斗、初の単独主演作となる実写版『秒速5センチメートル』に「自然と涙が出た」。新海誠監督も「北斗君で本当に良かった」と絶賛
『君の名は。』(16)、『天気の子』(19)、『すずめの戸締まり』(22)など、記録的な大ヒット作を生み出してきた新海誠監督が2007年に手掛けた劇場アニメーション『秒速5センチメートル(2007)』。そんな同作の実写映画化作品『秒速5センチメートル』が、10月10日(金)より公開される。これに先駆けて8月27日に完成報告会が都内にて行われ、松村北斗(SixTONES)、高畑充希、森七菜、上田悠斗、白山乃愛、宮崎あおい、吉岡秀隆らキャスト陣と奥山由之監督が出席。本作を実写化するにあたっての想いや、ついに完成を迎えた現在の心境、役に込めた気持ちなどを語った。
オリジナル版は、映像美、音楽、特徴的なセリフで編まれた詩的な世界観が、センチメンタリズムの凝縮された新海ワールドの原点との呼び声も高く、公開から18年たったいまもなお、日本のみならず世界中で愛されている作品。主人公・遠野貴樹の18年間にわたる人生の旅を、幼少期、高校生、社会人の3つの時代で描いたヒューマンドラマで、実写版の本作では、初の単独主演映画となる松村北斗が遠野貴樹を演じる。また、ヒロインの篠原明里に扮するのは高畑充希、貴樹と明里の幼少期を演じるのは上田悠斗と白山乃愛。そして、高校時代の貴樹に想いを寄せる同級生・澄田花苗に扮するのは森七菜、花苗の姉であり、貴樹が通う高校の教員・輿水美鳥を演じるのは宮崎あおい、科学館の館長・小川龍一に扮するのは吉岡秀隆…といった顔ぶれで、現在34歳の若き新鋭・奥山由之監督にとっては、本作が初の大型長編商業映画監督作となる。
自身も原作の大ファンだという松村は、遠野貴樹を演じるにあたり、喜びと恐怖が入り混じった複雑な感情で奥山監督との打ち合わせに臨んだという。「18年前に制作され、今日まで愛され続けてきたオリジナル版の『秒速5センチメートル』を実写化するということで、生身の人間が演じるんだっていうワクワク感と、あの遠野貴樹を僕なんかがやるんだ…みたいな恐怖、それが同時に襲ってきたのがいちばん最初の印象でした。でもその後、奥山監督とお話しをさせていただいたことで、もうこれ以上ない信頼感といいますか、安心感が生まれて。ものすごく熱量のある打ち合わせをさせていただいたことで、“この方の現場に参加させてほしい。この恐ろしい企画にチャレンジしたい!”と思えるようになり、取り組ませていただきました」。
初号試写で完成した作品を観たという松村は、特に貴樹と明里の幼少期のパートが印象的だったと話す。「やっぱり、悠斗と乃愛ちゃんが演じた幼少期のパートはいいですね。自分自身の子どもの頃の思い出といいますか、あの頃の感覚や懐かしさが甦ってきて、観ているうちに自然と涙が出てきて。自分も参加している作品なんですけど、純粋に“すごくいい映画を観させてもらったな”という印象でした。それと、試写の会場では新海誠監督ともお話をさせてもらって。作品の感想も聞かせていただけて、すごく素敵な時間を過ごさせていただきました」。
その際に新海監督からかけられた言葉も、松村にとっては非常に印象深いものだったという。「撮影が始まる前に、新海監督から『北斗君の演じる貴樹を観てみたいです』と言っていただけたことがモチベーションになっていたので、そうして取り組んだ僕の貴樹は、監督にはどのように受け取られたのか、すごく不安だったんですけど、試写の後に“貴樹が北斗君で本当に良かった”と言っていただけて。そこでようやく、ずっと抱えていた“貴樹を演じることへの恐怖”が払拭できました」
一方、ヒロインの篠原明里に扮する高畑は、「自分は役のイメージに合わないのでは?」という懸念をずっと抱いていたそうで、恐怖が8、9割…という心境のまま、クランクインを迎えたと話す。「私ももちろんオリジナル版は拝見していたんですけど、明里は女神といいますか、貴樹にとってマドンナのような存在なので、そんな明里役のお話が来たときは“何かの間違いだろう”と思いました。私が制作さんだったら、絶対に高畑充希には声をかけないですね(笑)」。
「そんな感覚だったので、恐る恐る打ち合わせに参加させていただいたんですけど、そこでいただいた台本が、ものすごくリスペクトで溢れたもので。それぞれのキャラクターが丁寧に、たくましく描かれていて、読んだ瞬間、それぞれの人物像が浮かび上がってくるくらい素晴らしいものだったんです。そこで描かれている明里には共感できる部分があったので、まだまだ恐怖心のほうが強く、比率でいえば8、9割は恐怖…という心境ではあったんですけど、思いきって参加させていただくことにしました」
無事に作品が完成した今、その恐怖心は払拭できたのだろうか?そう質問された高畑は「作品が公開されて、感想やご意見が届くまで、この感覚はなくならないと思うんですけど、ものすごく熱量のあるチームに参加できて、素晴らしい作品に関わらせていただけた…ということで、自分自身としては最高に良い選択ができたなと思っています」と答え、会場を沸かせた。
取材・文/ソムタム田井
※宮崎あおいの「崎」は「たつさき」が正式表記