広瀬すず&松下洸平、浴衣姿で息ぴったりの掛け合い!『遠い山なみの光』初共演にして夫婦役の感想は?
カズオ・イシグロの長編デビュー作を石川慶監督が映画化した『遠い山なみの光』(9月5日公開)の大ヒット祈願イベントが8月24日に神田明神で行われ、広瀬すずと松下洸平が涼やかな浴衣姿で登場。夫婦役を演じた2人が「ステキ」とお互いの浴衣姿を褒め合いながら、息ぴったり&笑顔いっぱいのトークを繰り広げた。
カズオ・イシグロが自身の出生地である長崎を舞台とした本作は、戦後間もない1950年代の長崎、そして1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密をひも解いていくヒューマンミステリー。『ある男』(22)で第46回⽇本アカデミー賞最優秀作品賞を含む最多8部⾨受賞という快挙を達成した、石川慶監督がメガホンを取った。
夫婦和合、縁結びの神様であるだいこく様が祀られる神田明神で、夫婦役を演じた2人が大ヒット祈願を行なったこの日。松下は「本当にステキですね」と広瀬の浴衣姿に惚れ惚れ。「帯が初めて見るタイプ。ちょっと後ろを、皆さんにご覧になっていただきたい」と広瀬の帯をアピールしながら、「どうですか。センス!」と称えると、広瀬は「あはは!」と笑顔を弾けさせていた。
広瀬は劇中で、1950年代、長崎時代の悦子を演じ、松下は悦子の夫、二郎役に扮した。2人は今回初共演となったが、松下は「現場でも、素の広瀬すずのまま。ヘラヘラしているんですよ」と共演の感想を吐露。広瀬が「わかる」とヘラヘラしていることを認めると、「わかるじゃないのよ」とツッコんだ松下は、「本番が始まる2秒くらいまでヘラヘラしていて、『本番、よーいスタート』になった瞬間にパッと悦子の顔になる。改めてすごい方だなと思いました。一緒に現場にいて、勉強させていただくことがすごく多かったです」とその俳優力に刺激を受けることばかりだったという。
一方の広瀬は「私もそうです」と充実の撮影になった様子で、「すごくフランクな方で、洸平くんも洸平で、ずっとふざけている」とお茶目ににっこり。松下は「それは本当にやめて。僕はふざけてないから!」と否定するなか、広瀬は「私にしか聞こえないような小さい声で、ずっとボケ続けてくる」と撮影の裏側を口にしつつ、二郎というキャラクターの感情を繊細に作り上げていく姿を目にして「すごくまじめで、器用な方なんだろうなと思った。セリフのキャッチボールをしていても、心地よいリズム感を持たれていて。すごく楽しかったです」と相思相愛の想いを打ち明けていた。本番でのスイッチの入り方を褒め合った2人だが、松下は「僕は普段からちゃんとしている」と反論、広瀬が「怪しいよ」とニヤリとするなど、息の合ったやり取りを披露して会場を笑わせていた。
悦子と二郎の夫婦像について、広瀬は「嘘をついているわけではないけれど、どこまでが本音でなにを考えているのか。どこか探っているように感じる。お互いにそれがあるんだと思った。それはいいのか、悪いのか…」と印象を語ると、松下は「二郎さんは口数が多い人ではないので、あまり本音を言わない。言ったとしても、それが本心かわからない。妻である悦子はとても大変だったろうなと思います。見えないところで支えてくれている悦子に対して、面と向かって感謝を言えない」と説明。松下自身は、「僕は『ありがとう』と『ごめんなさい』だけです」と感謝を大事にしているそうで、広瀬は「すばらしいです。それさえあれば」と感心していた。
さらにMCから「広瀬さんは本音を言う方ですか?溜め込みますか?」と尋ねられると、広瀬は「両方あると思います」と答え、「年齢を重ねて出会う人が増えたりするなかで、いままでは溜めていたけれど、ちゃんと言葉にすることも大事だなと思うようになりました。そんなつもりはないけれど、言っちゃうこともある」と告白。すると「よくありますねぇ、あなたは」と楽しそうに続いた松下は、「カンヌ国際映画祭では、お食事をご一緒することもあって。僕の食べ方を見て、『おじいちゃん?』とかね。ゆっくり、丁寧に食べているのに」と率直な言動を暴露し、広瀬も大笑い。広瀬が「ハッシュタグ、丁寧な暮らしって感じ!」と重ねると、松下は「『おじいちゃん』ってなんなの」と不満を訴えていたが、広瀬は「もちろん言える人にしか言いません」と信頼の証だと話していた。
最後には、大きな絵馬に願い事を書いてお披露目する場面もあった。広瀬が「また皆さまとごはん食べたい!」と書いた絵馬を公開すると、松下は「食べればいいじゃない!絵馬に書くことじゃないんですよ。すずちゃんが『食べたい』と言えば、みんな来てくれると思いますよ」と指摘。会場も笑いに包まれるなか、広瀬は「皆さん、お忙しいから。なかなか食べられないと思う。緊張してしまって直接(一緒にご飯を食べたいと)言う勇気がないので、いっぱい記事にしてください。ご飯の時こそ、いろいろな話ができたりするので」と絵馬に願いを託した。「僕はいつでも行きます」と快諾した松下に、広瀬は「いつでも行けそう。いい意味で!」と松下は緊張せずに誘うことができそうだとぶっちゃけ、再び会場は大爆笑。松下が「チョロいと思っている?」と笑うと、広瀬は「違う、違う!唯一いっぱいしゃべれるから、心強い存在として力をお借りできたら」と釈明し、松下が「もちろんですよ、いつでも行きますよ」と納得するなど、終始気の置けない相手であることが伝わるトークに大盛り上がりとなった。
松下が絵馬に「多くの人に届きますように。」と書き、ヒットを願った本作。広瀬は「当時の長崎を生き抜いた女性たちの生き様を、いまの時代の方がどのように受け止めていただけるのか。少しでも皆さんの希望になるような作品になったらいいなと思っています」とメッセージ。松下も「とても前向きな作品で、戦争の悲惨さを伝えるだけの作品ではないと胸を張って言える。これを機に、当時の長崎や広島でなにがあったのかを少しだけ知るきっかけになればいいなと思います」と力を込め、イベントを締め括った。
取材・文/成田おり枝