アナ・デ・アルマス、火炎放射器バトルは「正気の沙汰ではない(笑)」。監督と語った「ジョン・ウィック」最新作のアクションが生まれるまで
「アクションシーンは、私たちが見たことがないものを撮るというコンセプトから生まれています」(レン・ワイズマン監督)
――アイデア勝負のファイトシーンが多いですよね。
アルマス「そうなんです。彼女が即座に知恵を絞って状況全体を乗り越えていく方法が大好きでした。しかも、彼女の原動力は復讐心。彼女の心の痛みが物語を動かしていることも気に入っています。そのため、アクションと同じくらい、演技や美しい感情的なストーリーがたくさんありましたね。例えば、手榴弾を使った戦いのシーンやレストランでのファイトシーンは大好きでした。戦いに勝つことよりも、生き残ることへの努力が重要なんですよね」
ワイズマン「そうだよね。もし彼女の原動力が攻撃にあったら、この作品は大きく違ったと思います。それはそれでクールだけど、感情的には動かなかったかも。イヴが生き延びなければならないのを前提にしていくと、彼女と親しいキャラクターが容赦なく消えていく状況に、ある種の楽しみが生まれます。それによって、彼女は最悪の状況から抜け出す方法について賢く考えなければなりませんからね」
――レストランのシーンのアイデアはすばらしかったですね。また、日本の予告編でも取り上げられている火炎放射器のシーンが話題になっています。これも本当の炎だったんですよね?
ワイズマン「あのシーンに限らず、この作品でのアクションシーンは、私たちが見たことがないものを撮るというコンセプトから生まれています。私自身、たくさんのアクションを見てきましたし、アクション映画も大好き。ですが、どこかで見た繰り返しのように感じることがあります。ですから、ほかの映画ではやっていないことを前提に考え抜きました。おっしゃられた火炎放射器のシーンですが、火炎放射器を使うアクションシーンはあったにしても、火炎放射器同士、または火炎放射器と消火用ホースのバトルは見たことがないでしょう?しかも当然のように本物の火を使って(笑)。こういったモチベーションがこの作品のアクションシーンを一つ上のステージに上げているんだと思います。
アルマス「私も、『ジョン・ウィック』の世界の特徴のひとつは、ありえないアクションだと思います。スタッフはみな、常に新しくて非常に創造的だと感じているし、私自身もそう感じてましたし、最初に彼らが火炎放射器のアイデアを持って私のところに来た時、私は深刻には考えませんでした。でも、実際にやってみると、完全に正気の沙汰ではないんですよ(笑)。この作品の最高なことでもあり私を悩ませたことのひとつでもあるのが、すべてのアクションがリアルだったこと。私たちはCGIをほとんど使いません。水や火など全部本物なんですよ。観ているお客さんはCGIに慣れているから『ああ、これは合成でしょ?』って思うかもしれません。が…大きなスクリーンでご覧いただければわかりますよ、どれほど危険だったかを。火の扱いを勉強して挑みましたが、顔はやけど寸前、まつげや髪はチリッチリになったんですよ(笑)」
ワイズマン「そうそう(笑)。このシリーズに関わるものの試練は、全部リアルってことですから。アナがあのシーンで防火服のような衣装を着ている理由は、火が本物だったからです(笑)。それだけでも、CGだったらそうはせずに薄着にしていたりしたでしょうね。まあ、それが現実ですから」