家族構成、本名も謎のまま!?『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』でついにスポットが当たったボーちゃんの魅力に迫る
邪悪な力に囚われてしまったボーちゃんが”ボーくん”に!?
インドの“ハガシミール州ムシバイ”が春日部と姉妹都市になったことを記念し、「カスカベキッズエンタメフェスティバル」が開催されることに。そこで優勝するとインドに招待され、さらに現地のステージで踊ることができるという。しんのすけたちカスカベ防衛隊も5人で力を合わせてダンスパフォーマンスを披露。見事優勝を勝ち取り、期待に胸を膨らませながらインドへと向かう。
インド観光を満喫するなか、怪しげな雑貨店に入ったしんのすけとボーちゃん。2人はそこで鼻の形に似たリュックサックを見つけ購入する。しかし、このリュックサックにはある秘密が…。ちょうど鼻の穴に位置するところから飛び出ていた“紙”をボーちゃんが手に取り、おもむろに鼻に詰めてしまう。その紙には世界をも揺るがす強大な力が込められており、邪悪な力に囚われたボーちゃんが暴君こと“ボーくん”となって大暴走。しんのすけたちの声も届かず、己が野望のままに行動していく。
豹変してしまったボーちゃんにしんのすけたちが向き合う!
かつてここまでボーちゃんにスポットが当たることがあっただろうか?そう思えるほどボーちゃんを軸にストーリーが展開。そして改めてボーちゃんが持つ優しさを実感できる作品にもなっている。友だち想いで動植物を慈しみ、精神的に大人びているからか周囲を優先して行動することもできる。しかしそれはもしかすると、「本当はこうしたいのに…」という本音を押し殺していたのかもしれない。
レストランでなにを食べるか迷っている場面で、「ボーちゃんもこれでいいよね」と聞かれて笑顔で頷くボーちゃん。なにか不満があるわけではなく、周囲も押し付けているわけではない。でも、もう少し自己主張をしてもよかったかもしれない。そんな積み重ねもあったのか、暴走したボーちゃんはどんどんわがままに振る舞っていく。「ボーちゃんはそんな子じゃない!」と叫ぶしんのすけたちに対し、「僕のなにを知ってるの?」と言い返す言葉からは、いつの間にか形作られたキャラクターに反発しているようにも感じられる。
いつも優しいボーちゃんにどこか甘えていたのかもしれないしんのすけたち。すっかり変わってしまった親友の姿にショックを受けるが、きちんと友だちとして向き合うことで本来の優しさを取り戻してもらおうとする。幼稚園で一人遊んでいたボーちゃんと仲良くなろうとするしんのすけの思い出も映しだされ、風間くん、ネネちゃん、マサオくんたちも含めた5人の熱いドラマに観ている側もなんだか込み上げてくるものが…。
果たして、しんのすけたちの友情はどうなってしまうのか?かつてないほど大活躍するボーちゃんの姿を目に焼き付けてほしい。
文/平尾嘉浩