赤い服の女、首吊り屋敷、女子高生と呪いのメール…『近畿地方のある場所について』近畿ならぬ禁忌の予告映像
発行部数35万部を突破した話題のホラー小説を映画化した『近畿地方のある場所について』(8月8日公開)。本作より、“ある場所”へとつながる禁忌の予告4種が一挙解となった。
突然行方不明となったオカルト雑誌の編集者。失踪直前まで彼は、未解決事件の捜査資料や、怪現象にまつわる特集記事、お蔵入りとなった過去の取材メモなど様々な情報をかき集めてなにかを調べていたという。彼の行方を捜す同僚の編集部員、小沢はライターの千紘と共に、それらすべての出来事が“近畿地方のある場所”で起きていた事実を突き止める。なぜその場所で事件が発生するのか。“ある場所”とは一体どこなのか。衝撃の展開が連続する、新感覚の場所ミステリー=“場所ミス”が幕を開ける。
監督を務めるのは、フェイクドキュメンタリーの先駆者にしてホラー映画の名匠である、『ノロイ』(05)、『貞子VS伽椰子』(16)、『サユリ』(24)の白石晃士。白石監督の大ファンを公言する原作者の背筋も脚本協力として本作に参加している。さらに、失踪事件の調査を進めるにつれて“ある場所”へと導かれていくオカルトライターの瀬野千紘を菅野美穂、彼女と行動を共にしていくうちに“ある場所”の謎に魅せられていく雑誌編集者の小沢悠生を赤楚衛二が演じる。
このたび、“近畿地方のある場所“を導く手掛かりとなる4つの特別予告が一挙解禁に。その中には、テレビ放送NGとなった禁断の映像も含まれているという。
まずは、オカルトライター、千紘(菅野)の「私の友人が消息を断ちました」という衝撃の独白から始まる、主題歌入りスポット映像。カメラを真正面から見据え、どこか虚ろな目で語りかける千紘。その感情の輪郭が掴めないまま、じわじわと不穏な空気だけが広がっていく。やがて、彼女と行動を共にする編集記者、小沢(赤楚)の「近畿地方になにかありますね」という言葉をきっかけに、映像は一変する。画面いっぱいに浮かび上がるのは、「身代わり」、「味がしないのだ」、「うちへきませんか、かきもありますよ」などの意味不明かつ不気味なテロップの数々。これらは近畿地方のある場所を指し示すカギなのか?それとも、観る者をさらなる混乱と不安へ引きずり込むための仕掛けなのか。
映像で流れる主題歌は椎名林檎による「白日のもと」。楽曲へ込めた想いについて椎名は、「この物語に重く横たわる問題に私は只管向き合いました。それは自身の問題でもあり、人生に於ける最も大きな脅威で、真に迫る描写を目指すほどに苦しかった」と胸の内を明かしている。菅野も「私が演じた千紘というキャラクターの心情にとことん寄り添って作ってくださった曲で、感謝しかありません」と語っている。主題歌「白日のもと」は千紘の心を代弁し、本作を読み解く手掛かりとなり得るのか。そして、我々が導かれる先にあるのは救いか、それとも。
思わず息をのむ、戦慄の映像も到着。怪異に巻き込まれた大学生、目黒(のせりん)がある晩、自室のベランダに“赤い服の女”が立っているのを目撃。その異様な光景をスマホに記録したものになっている。「僕の部屋のベランダに、女の人が立ってて…」と声を震わす目黒。そのすぐあとに、小沢が「撮ったんですか!?」と食い気味に問いかける声が重なる。映像に映しだされるのは、暗がりのベランダにひっそりと佇む、真っ赤な服の女。室内を覗き込むように顔を近づけながら、ゆっくりと、まるでなにかを確かめるように両手を持ち上げていく。赤い服の女の正体は一体?彼女はそこでなにをしていたのか。目黒の息遣いや震える手元が映す手ブレ映像のリアルさに、思わず背筋が凍ってしまう。
続いては、その名前だけで恐怖を呼び起こす「首吊り屋敷」への潜入映像。心霊スポットに突撃取材を繰り返す動画配信者の“凸劇ヒトバシラ”が訪れたその屋敷は、床に血のようなシミが点在し、無数に貼られた不可解なお札が壁を覆い尽くす、常軌を逸した空間だった。次第にパニック状態に陥り、泣きじゃくるヒトバシラ。視線の先には、天井から大量の首吊り縄がぶら下がっている。生配信のコメント欄には、緊張感に満ちた視聴者の声が次々と飛び交う。「やばいやばいやばい」、「後ろに誰かいる」、「あれは一体…」。そして不意に現れる、「ありがとうございます」という不可解なある言葉。ヒトバシラが背後を振り返り絶叫した瞬間、映像は激しく乱れ、そこで途絶えてしまう。彼の身に一体なにが起きたのか?
最後に紹介するのは、どこか平成の香りが漂うテレビ番組風の映像だ。女子高生の最新トレンドを追う内容らしく、制服姿の彼女たちが街頭インタビューに答えている。最新の流行について尋ねられた彼女たちは、「不幸のメール」を紹介。懐かしいガラケーの画面には、「3人以上に送らなければ死ぬ」という、いわゆる悪質なチェーンメールの文面が映しだされる。その中の1人の女子高生が、カメラに向かって元気よく「私が死ぬわけねーだろ!」と言い放つ。その後、千紘が目にする調査資料には、その女子高生と思しき写真と共に「集団自殺」という忌まわしい文字が記されていた。果たして彼女は、怪異の餌食となってしまったのだろうか。
観れば観るほど、現実と怪異の境界線が曖昧になっていくリアルな映像の数々。一見バラバラに見えるこれらの映像に渦巻くものとは一体?近畿ならぬ“禁忌”に迫る『近畿地方のある場所について』に注目してほしい。
文/平尾嘉浩