ストレーガ賞受賞作が映画化『美しい夏』2人のヒロインの魅力あふれるキャラクタービジュアル
<コメント>
●緒形龍(俳優、モデル)
「儚さと美しさが繊細に織り込まれた美しい一作でした。Yile Yara Vianelloの目に宿るせつなさと好奇心、そしてDeva Casselの圧倒的な美しさと凛とした気高さ。この2人が醸しだすケミストリーに、心が静かに満たされました」
●児玉美月(映画批評家)
「『軽薄な男たちといるより、女同士の方がいい』と語り合う女たち。本当は誰といたいのか、本当は誰に惹かれるのか──彼女たちは心の奥ではきっと知っている。『美しい夏』は、華やかな刹那と黄昏の憂鬱で彩られていたあの季節の記憶を、ここに呼び起こしてゆく」
●関口英子(イタリア文学翻訳家)
「自立した女性アメーリアに惹かれ、背伸びして大人の世界に飛び込んだジーニア。憧憬や羨望、憂いや戸惑い、恥じらいや不安といった揺れ動くやわらかな感情を映しだす彼女の澄んだ瞳とまっすぐな眼差しに、パヴェ―ゼが繊細な文章で紡いだ、二度と戻ることのない美しい夏の青春と傷痕がすべて凝縮されている」
●佐々木敦(批評家)
「パヴェーゼの名作小説の切なくも鮮やかなアダプテーション。誰もが自分の『美しい夏』を持っている。この夏、多くの観客に『あの夏』と出会って欲しい」
●マッシ(ライター、エッセイスト)
「美しく、官能的で、そして強烈。人間の心の最も深い部分も表現していて、最後まで視聴者の心を掴んで離さない。パヴェーゼの小説の古さを感じさせないほど、現代を生きる僕たちの胸にも響いてくる」
●水上文(文筆家)
「恋に落ちる2人の女性――ラウラ・ルケッティは、女性の身体を消費させず、異性愛規範によって掻き消されかねないクィアな感情を逃さない。だからこの映像美に浸ることができるのだ。レンズが捉えるすべての瞬間が忘れ難い」
●山内マリコ(小説家)
「憧憬のまなざしを向ける側、向けられる側。彼女たちは異性ではなく同性こそ自分たちに必要なことを、最初から知っているみたいだ。画面の隅々に青春のエッセンスがぎゅっと凝縮して、すべての瞬間がまばゆい」
●山崎まどか(コラムニスト)
「2人の少女がお互いに寄せる想いが『美しい夏』そのもの。ジーニアとアメーリアが自転車で走るシーンのときめきが、彼女たちが一緒にいられる季節がずっと続きますようにと祈るような気持ちだった。残酷な男女の世界の現実や、戦争や、あらゆる悲しみにこの輝きがかき消されることがないように」
●和田忠彦(イタリア文学者/東京外国語大学名誉教授)
「『あのころはいつもお祭りだった』——ひるがえっていまは、と問えば、失ったものの正体や在処に思いが向かい、あらためてその喪失の歳月がよみがえってくる。中編小説『美しい夏』をひらくこの一文を、ラウラ・ルケッティはどう読んだのか。その答えが、繊細にして容赦ない手捌きでわたしたち観客に手渡される」
文/スズキヒロシ