リュ・スンリョンにヤン・セジョン、東方神起ユンホらが手応え語る!ディズニープラス「パイン ならず者たち」製作記者会見をロングレポート
多彩な方言を使い分けた俳優たち!オーディションで大抜擢された新鋭も
ソウル、木浦、釜山を拠点とするキャラクターたちの財宝争奪戦となる本作は、ソウルから慶尚道、忠清道と韓国各所の方言が登場する。ソウル出身のイ・ドンフィは木浦の警察官を演じるにあたり「専門の先生についてもらって習得しました」とビハインドを明かすと、木浦と同じ言語圏の全羅南道・光州出身のユンホも「1970年代当時と現在とでは訛りも違ったりするので、私もレッスンが必要でした。現地の方やタクシーの運転手さんに聞いたりして修正していきました」と、リアリティを追求したと語った。ユンホがそこまでこだわった理由は、リュ・スンリョンから「ユンホ、ちゃんと準備をしてくるんだよ!」とエールを送られたことで「本気にさせてもらえた」からだという。隣の席のイ・ドンフィは「読み合わせの時、すでにすべてのセリフを覚えていて、俳優としての刺激を受けた」と評価すると共に、「そんな”Lesson”があったのか!」と、最近ネットミームとして再び話題になっているユンホの2021年のミニアルバムの収録曲「Thank U」の歌詞になぞらえたジョークを飛ばし、出演者たちを笑わせた。
今回、名実ともに優れた俳優陣の中に、高倍率のオーディションを勝ち抜いた新鋭も仲間入りした。元ボクサーのデシク役のイ・サンジンと、ソウルへの上京を夢見る喫茶店店員ソンジャを演じたキム・ミンだ。キム・ミンは「ソンジャは財宝よりも、上京に対する思いが強いです。それが周囲のキャラクターとは違っています」と語る。リュ・スンリョンもまた「他の人間は金目当てですが、ソンジャはいわゆる『心にとって価値のある宝物』を欲しがっている。『欲望という名の電車』ではないですが、欲を満たそうとしてもきりがない。その悲しさも表現しているドラマだと思います」と、ソンジャというキャラクターを通して財宝をねらう面々の本質が見えてくるストーリーラインも予感させた。
俳優陣とスタッフが互いに高め合う撮影現場
原作となったウェブトゥーンは、1975年、実際に全羅南道新安沖で発見された貿易船から、宋・元の陶磁器など莫大な宝物が見つかった実話を元としている。そのため、実写化でも最大限のリアリティが追求された。キム・ウィソンは、オープンセットについて「タイムスリップしたような没入感」と語ると、キム・ジョンスもまた「カメラに映らない空気感まで作ってくれました」と、こぞってスタッフワークを褒め称えた。
またカン・ユンソン監督がキャスティングの決め手を「やはり気が合う方とはまた一緒になりたいと思ったことと、役柄に合わせてオファーをしました」と明かしたように、『パイン ならず者たち』は原作の個性豊かなキャラクターを表現できる俳優を選んだ。「役者の性格を観察し、役者の持つ言葉によってキャラクターを作るところがありました。もちろん、最初に考えたところから性格やふるまいが変わっていくところもありましたが、それは私が脚本を変えればいいだけでしたね」と、俳優に合わせた脚本作りに、俳優への信頼がうかがえる。そのため、原作の良さを損なわない、物語の骨組みにあいているところを補う、キャラクターの余白を肉付けする作業に時間がかかったそうだ。「キャラクターは生き物なので、演技していくうちにどんどん変わっていきます。翌日の撮影のためにキャラの変化をすぐ反映させました」と監督が明かすと、キム・ウィソンは「撮影中みんな疲れているはずなんですが、監督は脚本を直してすぐに送ってきてくださいました。一体いつ休んでいるんだろうと驚きました」と、その粘り強さに舌を巻いた。
こうした製作陣の期待に応えたのが、やはり俳優陣だった。イム・スジョンは「俳優みんな演技の神様でした。自分のキャラを進化させるためにどうすればいいかを皆さんの役から学んだんです」と、切磋琢磨し完成度を高めていく現場だったことを語った。名優陣の仲間入りを果たすべく演技を磨いたヤン・セジョンは、「皆さんの役とのシンクロ率がすごかったので、自分も役に入り込むほか無かったです。作品に出演できて、俳優としても人間としてもステップアップしたように感じます」と、共演者から良い影響を受けたとを明かした。そんな”可愛い甥っ子”にリュ・スンリョンも、「ヤン・セジョンさんは、常に台本を読んでいて本当に勤勉でした」と称賛を惜しまなかった。
取材・文/荒井 南