阿部寛、初共演の菜々緒は「気持ちのいい性格の人」と笑顔!『キャンドルスティック』初日舞台挨拶で津田健次郎との撮影裏話も披露
映画『キャンドルスティック』(公開中)の初日舞台挨拶が7月4日、新宿バルト9にて開催され、阿部寛、菜々緒、サヘル・ローズ、津田健次郎、 YOUNG DAIS、米倉強太監督が登壇した。
日本の金融機関が最も脆弱となる令和初日、2019年5月7日。世界を股にかけたろくでなしたちが、大胆不敵なマネーゲームを繰り広げる。元天才ホワイトハッカーが考案した“AIを騙す”計画に、10人の男女が大金を手に入れるため、前代未聞のミッションに挑むという物語が展開する。
本作が初共演となる阿部と菜々緒。菜々緒の印象について阿部は「以前、TBSのスタジオですれ違った時に、すごいオーラだなって思って。いつか共演してみたいと思っていました」と明かす。実際に共演した菜々緒の印象は「気持ちいい性格の人」だそうで、「キレのいいしゃべり、心のままをいう人です」と説明。撮影中は英語のセリフが多くてパニクっていたという阿部だが、菜々緒が現場にいるだけで、空気が綺麗になるとも話し、「すごく楽しかった。またぜひ共演してください!」とリクエスト。「こちらこそ、ぜひ!」と答えた菜々緒と向かいあってお互いにペコリ。会場を和やかなムードに包み込んだ。
撮影中は過去の作品の撮影裏話をすることも多かったそうだが、「いろいろ話したけれど、あまり覚えてないって言っていました」と阿部の様子を明かす菜々緒。インタビューなどで忘れてしまったことを「忘れちゃった!」とあっけらかんと話す姿もすてきだったと微笑んだ菜々緒は、共演前後で印象の変化はないとし、「イメージ通り。テレビで観る時の阿部さんそのままという感じ。ギャップっていったら、結構おちゃめかも」としながらも、どっしりと構えている感じがあるとも話していた。
撮影で印象に残っていることは「FXの講師役なので、専門用語が多いこと」と明かしたDAIS。実際に講師として活動する人をリサーチし、セリフの言い回しなどを研究してシミュレーションをして現場に入ったそうだが、撮影では予想以上に緊張してしまったそう。「人生で一番緊張していた」と告白したDAISは、もし映像でその緊張が伝わらなかったら、よくやった、演じ切ったと自分を褒めたいとも話していた。ローズは相手が見えない状態での撮影が印象に残っているそうで、「ズーム上で相手とコミュニケーションをとるというシーン。相手が見えない真っ暗な画面に向かって表現するのが難しい。(オンラインで)繋がっているように見えるけれど、どの国とも繋がっていない。繋げずに演技して、映画では繋がって見える」と撮影の裏側を解説。繋がっていないのにしっかりと繋がって見えるのは、AI、ITのなせる技だとも感心しながら熱弁していた。
津田は阿部の共演初日に「水をかけるシーン」を撮影したと明かし、「初日で水をかけるのか…阿部さんに…」と悩ましい表情を見せる。「芝居を始めたころ、舞台なども観ていた阿部さんに水をかけるのか…」と役とはいえ、気が引けたとも話す。「やり直しができないシーン。失敗したらと考えたら、メイクも(やり直して)、衣装も乾かして…といろいろ考えてしまい…」と苦笑い。しかし、実際には一発OKで撮影は終了。シーンを振り返った阿部は「僕は水をかけたら横に飛んでいってしまった経験があるから、すごく心配でした」と自身も水をかけるシーンの難しさを知っているからこそ、「大丈夫かな?」とも思いながら挑んでいたという。この日は阿部にとっても撮影初日だったそうで、「津田さんに会う前に日本橋を走るシーンは、僕にぶつかってくださる方がすごくうまいなって思って。そこから始まって、水かけのシーン(もうまくいって)。天候のいい晴れた日の撮影で、作品の力、なにかが始まる感じがしました」と幸先のよいスタートだったと充実感を滲ませていた。
本作への参加は「チャレンジングなことだった」との阿部のコメントにちなみ、イベントでは「チャレンジしたいこと」を発表する場面も。「バックパッカーと自給自足」と答えた菜々緒は「全部自分でやるのが夢!」とニッコリ。「宇宙に行ってみたい」という津田だったが「三半規管があまり強くない。ロケットとかではない技術があればいいなと思います」と新しい技術で、より簡単に宇宙に行けたらとリクエスト。ローズが「ヒット祈願でこのメンバーで滝行をしたい!」と話すとDAISは「出身が北海道なので、函館から青森くらいまで泳ぎたい!」と続く。そこには“繋ぐ”という意味も入っていると、映画にちなんだコメントを盛り込むも、「マグロと並走で泳いで…」と脱線が始まると、釣りが得意だという菜々緒が「私がマグロを釣り上げてみんなで食べる!」とわちゃわちゃと盛り上がる。するとDAISは、「マグロよりも僕を先に釣り上げてください!」とお願いし、笑いを誘う場面もあった。
チャレンジしたいことが浮かばなかった阿部だが、次の質問「手に入れてみたい特殊能力」は「あります!」と笑顔。欲しいのは「深海に潜れるカラダ」だそうで、どういう世界なのかわからない謎めいたところに興味があると話していた。
最後の挨拶で阿部は「新進気鋭の監督だから、なにか僕に新しいものをくれるんじゃないかと思って、台本をもらう前にOKを出しました」と出演に至った経緯に触れ、「監督は映画に対してすごく誠実。カメラマンも役者もやっていた人で、斬新な画が撮れました」と刺激のあった現場だったと振り返る。また、新しい合作の形に「新鮮な気持ちがしました。今後もこういう(新しさを感じる)合作ができたらいいなと思います。そのきっかけになる映画です」と今後に期待を込める。米倉監督は「スピード感を大事にして、いろいろな国の“間(ま)”、いろいろなものを投影できるような、想像できるような、感情移入できるような余地を作った作品です。そういうところを楽しんでみてください!」と魅力をアピールし、大きな拍手に包まれながら、イベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ