小栗旬が大阪から沖縄、横浜へ日本縦断!『フロントライン』の大反響に「この映画を作ってよかった」
小栗旬が明かす、本作の前後で変わったこととは?
翌6月29日には、小栗と増本プロデューサーの2人が、映画の舞台となった豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号が寄港した地でもある横浜の横浜ブルク13での舞台挨拶に登壇。小栗はそこで、前日の大阪での舞台挨拶の後に沖縄を訪れたことを明かし会場を驚かせた。
沖縄で小栗は、劇中で森七菜が演じた羽鳥寛子のモデルとなった元ダイヤモンド・プリンセス号フロントデスク・クルーの和田祥子さんと合流し、沖縄に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号を実際に見に行ったという。「本当に大きかった!」と感動した様子で語ると、「和田さんは現在はクルーとして働いてはいませんが、船内でDMATの方とご一緒するなかでDMATメンバーから『医療が向いていると思う』と言われたことをきっかけに、いまは鍼灸師の勉強をしているそうです」というエピソードを明かした。
また小栗は、「医療従事者の方から『あの時の自分たちを肯定してもらった』とお手紙をいただいたんです。自分たちもそう言ってもらえたことで、改めてこの映画を作ってよかったと思えました」と感慨深げに語り、増本プロデューサーは「『こんなに苦労していた人がいたことを知って反省した』という声をいただいた」と、意外な反響があったことを明かす。そして「僕は反省の気持ちよりも、『みんながみんなを温かい目で見られるようになったら、もう少しいい世の中になるんじゃないか』という想いを込めて作りました。そういうふうに届いてほしいです」と観客にメッセージを送った。
そうしたなか、前日の大阪での舞台挨拶に引き続き横浜でもQ&Aが実施。「今後、コロナを知らない世代がこの映画を観ることも増えてくると思いますが、そのような人たちにどんなことを感じてほしいですか?」という質問に、「どう思うんでしょうね…」と言葉を詰まらせる小栗。増本プロデューサーは「もしまた災害が起こった時の人と人との関わり方や、優しさやリスペクトはいつの時代になっても同じだと思うので、そういうところはこれからの観る方の材料になるかもしれないです」と語る。
続いて「この作品と出会う前と後で、感じ方が変わったことは?」と訊かれると、小栗は「過酷でしんどい時こそ、余裕を持てる人になりたいと思ったことです」と即答。一方で増本プロデューサーは、「僕はいままで『これをわかって!』という、ちょっと強引なモノづくりをしていたかもしれないのですが、今回は関根(光才)監督の力もあってだいぶ引いて作ったんです。その結果、いつも以上に伝わっていると感じ、お客さんを信じてもっと委ねたほうがかえって伝わるんだなということが学べました」と、作品との向き合い方に大きな変化がもたらされたことを明かした。
最後に増本プロデューサーは「オリジナルの映画はなかなか企画が通りづらい。実現しないんじゃないかなと思った時に小栗さんに電話したら『やるべきだよ』と言ってもらえて始まったプロジェクトでした」と感慨深げに振り返り「それからまる2年、満員のお客さんの前に2人で立てていることが、いま風に言うと“エモくて”(笑)。皆さんの映画になっていると思いますので、ご家族や大切な人とこの作品の話をしてほしいなと思います」と語る。
そして小栗は「『フロントライン』のような作品を皆さんに届けられたことは、本当に役者をやっていてよかったなと思います。よく皆さんに『この作品を育てていってほしい』と言うことがあるのですが、この作品も皆さんそれぞれが育てていってくれたらいいなと思います。皆さんの応援で、僕らがまた違う“フロントライン”に立てるかもしれないので、どうぞよろしくお願いいたします」と力強く呼びかけていた。
文/久保田 和馬