『トップガン マーヴェリック』コンビが再タッグ!監督&プロデューサーが明かす映画『F1(R)/エフワン』でこだわった“リアリティ”

インタビュー

『トップガン マーヴェリック』コンビが再タッグ!監督&プロデューサーが明かす映画『F1(R)/エフワン』でこだわった“リアリティ”

「人間ドラマを描くうえで最高の舞台と言える」(ブラッカイマー)

「常に監督のビジョンを尊重し、全力でサポートしてくれる“監督のためのプロデューサー”です」とコシンスキー監督が絶賛するジェリー・ブラッカイマー。「バッドボーイズ」シリーズなどカーアクションを盛り込んだ作品を多く手掛けてきた彼を惹きつけたのは、最速のレースだけでなくその裏側で繰り広げられるドラマだった。「これまで私が好んで手掛けてきたのは、自分で“プロセス映画”と呼んでいるタイプの作品です。普段は足を踏み入れることのない舞台裏に観客を招き入れ、実際どのように動いているのかを見せながら物語に引き込んでいく。今回もそんなタイプの映画です」。

企画から完成まで4年にわたるビッグプロジェクトとなった本作。プロデューサーとしてブラッカイマーが最初に行ったのが、F1ドライバーのルイス・ハミルトンに会うことだった。「ルイスに、この映画に参加してほしいと願い出たのです。彼はプロデュース、技術顧問として全面的に協力し、映画のクオリティ向上に大きく貢献してくれました」と振り返る。

【写真を見る】出演条件は自分でフォーミュラカーを運転!?ブラッド・ピットは数か月の厳しい訓練を経てサーキットに立った!
【写真を見る】出演条件は自分でフォーミュラカーを運転!?ブラッド・ピットは数か月の厳しい訓練を経てサーキットに立った![c] 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS

ブラッカイマーが目指したのは、リアルな表現を突き詰めることだ。「ブラッドの出演条件は、自分でフォーミュラカーを運転することでした。そこでルイスと計画を立て、4か月かけてダムソンとブラッドに運転のトレーニングを行ったんです。ロードカーからスタートしてF4カー、F3カー、最終的に撮影で使用するF2ベースのマシンへとステップアップしていきました」。時速290kmで走行するマシンがコーナーで一気に時速80kmまで減速すると、ドライバーにかかる重力は5G(地球の重力の5倍)にも上る。そのためレーサーには首などの耐性も求められる。「肉体面での負担も大きいので、ブラッドたちは撮影に向けてドライブテクニックのほか身体のトレーニングも行ってもらいました」。

アクション、アドベンチャー映画で知られるブラッカイマーだが、個性派キャラが生み出す人間ドラマも彼の作品に欠かせない要素である。「ソニーは若いころに大きなチャンスを与えられながら、ある過ちによって道を外れてしまった人物です。誰もが人生において、やり直す機会があったら…と思うことはあるでしょう。彼にもセカンドチャンスが巡ってくるのです。世界中から選ばれた20人のドライバーがNo.1を目指すF1は、チームメイト同士もライバル。人間ドラマを描くうえで最高の舞台と言えます」。

常識破りなソニーと自信家のルーキー、ジョシュアは度々衝突を繰り返す
常識破りなソニーと自信家のルーキー、ジョシュアは度々衝突を繰り返す[c] 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS

F1には物語を盛り上げるあらゆる要素が詰まっているという。「レースカーの精密さもそうですし、レースごとに車をイチから組み直さなければなりません。予選の興奮や、調整のためのフリー走行にも独特の緊張感が漂っています。タイヤ交換やメンテナンスのピットストップも、たった1秒遅れただけでレース結果を左右してしまうこともあるんです。あらゆる出来事がF1を特別なものにしています」。

「カーアクションも重要なのは物語と感情。感情に訴えかけられなければ、作品として成立しない」(ブラッカイマー)

本作は『トップガン マーヴェリック』に続くコシンスキー監督とのコンビ作。プロデューサーから見た監督の魅力は緻密さだという。「もともとエンジニアや建築の教育を受けたてきたジョー(コシンスキー監督)は、すべてのシーンを絵コンテに落とし込んで準備をします。その場の思いつきや、とりあえずやってみようといったことはありません。彼の作品はすべてが計画的に進められているのです。ふだんはもの静かですが、現場では精力的に働きクリエイティブな人物でもあるのです」とその手腕を絶賛した。

コシンスキー監督によるカーアクションも単にリアルなだけではないという。「カーアクションも重要なのは物語と感情です。私たちはカーアクションをどう作ればいいか熟知していますし、世界最高峰のクルーを集めて撮影を行いました。しかし観客の心を動かすことができなければ、それも意味がありません。感情に訴えかけられなければ、作品として成立しないのです。この作品を観てあなたが引き込まれたとしたら、それは映画に流れる感情に心を打たれたからなのです」。

映画『F1(R)/エフワン』は公開中
映画『F1(R)/エフワン』は公開中[c] 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS

撮影のため世界各地のサーキットを回るなかで、F1の熱狂も体感したというブラッカイマー。特に圧倒されたのが、過去数々の名勝負を生んだイギリスのシルバーストン・サーキットだったという。「走りごたえあるすばらしいトラックですが、それ以上にF1のベースと言える場所だと感じました。多くのチームがこの地を拠点にし、集まる観客も14万人と膨大です。そのうち5万人ほどはキャンピングカーで乗り込んで、キャンプをしながら週末のF1を生活の一部のように楽しんでいました。信じられないほどの熱気でしたね」とブラッカイマー。そんなF1の熱狂や興奮が伝わってくる本作で、非日常を味わってほしいと締めくくった。「とにかく楽しんでもらいたい、それに尽きます。世界が混沌としているなかで、2時間だけでもすべてを忘れてスクリーンの世界に没頭し、心から楽しんでもらいたい。それがこの映画の一番の魅力なんです」。


文/神武団四郎

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