『国宝』が公開3週目にして首位に浮上!“天を味方につけた”相乗効果で、前週から大幅に成績アップ
6月20日から6月22日までの全国映画動員ランキングが発表。先々週の公開初週末が3位、先週末が2位と、観客動員数&興行収入を伸ばしながら順位を押し上げてきた李相日監督の『国宝』(公開中)が、公開3週目にしてついにNo.1の座に輝いた。
動員152万人、興収21億円突破!『国宝』の勢いが止まらない
『国宝』の週末3日間の成績は、動員が34万8000人、興収が5億1500万円。これを公開2週目だった先週末の成績と比べてみれば、動員は112%で興収は114%。さらに公開初週末と比較してみると動員が142%、興収が149%と、あまりにも異例の右肩上がりを継続中だ。
また、先週末(6月15日)時点での累計成績は動員85万人&興収11億9000万円だったが、今週末終了時点での累計成績は動員152万人&興収21億円と急増。今回も現時点の累計成績から、先週末時点までの成績と今週末3日間の成績を差し引いた平日4日間(6月16日から6月19日まで)の成績を概算してみると、動員が約32万2000人、興収が約3億9500万円。1日あたりの平均動員数は、平日でも8万人を超えている。
作品の完成度の高さや、カンヌ国際映画祭を皮切りにした作品評価の高さ、SNSでの口コミの拡散力など、『国宝』の異例のヒットの理由を探していけば枚挙にいとまがないが、今回着目したいのが“天候”だ。あくまでも首都圏を基準にさせてもらうが、先週末は雨に見舞われたものの、週明けから晴れの日が続き、気温も急上昇。最高気温30度を越す日が続いている。
2024年に「Weather X」が公開した「消費統計データから気象の社会影響を分析」という記事によれば、夏期の映画館では日平均気温が1度上がるごとに消費金額は3.1%上昇するといわれている。つまり暑い日こそ、映画館の動員が増すということである。たしかに、天気が良くて外出日和ではあるが、いざ外に出てみたら気温が高く、家に帰るよりも涼しい施設で過ごしたいと考えるのは至極当然な心理といえよう。
もちろんそうなれば、『国宝』以外の作品も選択肢にあがって然るべきところ。2位以下の『リロ&スティッチ』(公開中)、『フロントライン』(公開中)、『ドールハウス』(公開中)、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(公開中)と、数字の詳細については後述するが、ターゲット層が極端に偏らないタイプの作品が前週からまずまずの数字を維持して上位をキープしている点からも、この傾向と合致していることが判断できる。
そのなかでも『国宝』の場合は、平日の動員アップに直結しやすいシニア層にリーチする題材、週末になるとSNSでの拡散をきっかけにして客層の幅が広がることをベースにしつつ、この急激な気温の上昇によって、約3時間という長尺に対するハードルの高さも通常より低くなったのではないかと推測できる。まさに“天を味方につけた”相乗効果であり、ここからさらに暑い日が続くとなれば、話題性の持続力も伴って数字をさらに伸ばしていくことになるだろう。