ピート・ドクターらもその声を絶賛!渡辺直美、『星つなぎのエリオ』ワールドプレミアで「めっちゃ貴重な経験です」と大感激
ディズニー&ピクサーの劇場最新作『星つなぎのエリオ』(8月1日公開)のワールドプレミアが、全米公開を目前に控えた日本時間6月11日(現地時間6月10日)に、アメリカのロサンゼルスにあるエル・キャピタン・シアターにて開催。ゾーイ・サルダナ、渡辺直美ら声優キャストをはじめ、ピクサー・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのピート・ドクター、本作で監督を務めたマデリン・シャラフィアン、ドミー・シー、プロデューサーのメアリー・アリス・ドラムらスタッフ陣が集結した。
本作は、ひとりぼっちの主人公エリオが、何光年も離れた星で、本当の居場所、大切なつながりを見つける物語を描く感動のファンタジーアドベンチャー。本年のアカデミー賞助演女優賞を受賞し、年末には「アバター」シリーズ最新作の公開が控えるサルダナは、主人公エリオの叔母、オルガ役を演じる。そんな豪華キャストと肩を並べて、USオリジナル版でオーヴァ役を演じた渡辺も、本国メインキャストの1人としてレッドカーペットに登場。何光年も離れたところにある様々な星の代表が集う場所“コミュニバース”のようにカラフルに彩られた会場で、大勢の観客と共に作品を盛り上げた。
先日、日本人初となるUSオリジナル版と日本版の両方で声優を務めることが発表され大きな話題を呼んだ渡辺。ピクサーのUSオリジナル版声優といえば、これまで、「トイ・ストーリー」シリーズでウッディを演じたトム・ハンクスや、『トイ・ストーリー4』(19)でバイクスタントマンのおもちゃデューク・カブーンを演じたキアヌ・リーヴスなど、名だたるハリウッドスターたちが選ばれてきた。渡辺は本作でその仲間入りを果たし、主人公エリオがたどり着くコミュニバースのメンバーの1人で、平和を愛する惑星の明るくて情熱的な大使オーヴァを演じる。
現在ニューヨークを拠点に幅広い分野で活動し、いまや世界的な人気を誇る彼女。会場には、この日のために特注した薄紫色でふわふわした見た目のオーヴァをイメージしたパープルカラーのドレスで登場した。渡辺は本日の衣装について「どうですか?可愛いでしょ。オーヴァはコミュニバースのメンバーの1人で、紫色で身体も大きいんですけど、情熱的で優しい子。(今日のドレスは)オーヴァのキャラクターにあわせて紫色がいいんじゃないかと思って、ほわほわした感じにしました。ネイルもエリオをイメージして宇宙ネイルにしてるんです!髪の毛はかぐや姫みたいなイメージで、和な感じにしてみました!」とアピール。
レッドカーペットでは渡辺がドクターに英語で挨拶すると、ドクターが「それともフリーダと呼んだ方がいいかな?」と、以前に渡辺が『リメンバー・ミー』(17)で日本版声優を務めたキャラクターの名前で声をかける場面もあり、渡辺は「覚えてくださっていて、うれしいです!」と感激する。渡辺の英語での演技について、ドクターは「Amazing! Fantastic!日本とは異なるかもしれませんが、私たちはまず声を録音し、その後アニメーターたちが繰り返し聴きながら作業を進めます。つまり、直美の声を聴いた人が、その声からインスピレーションを受けてパフォーマンスを創造したのです」と大絶賛しており、それを聞いた渡辺は、「ピクサーの作品をずっと作り続けてきた人にお会いできてめっちゃうれしいです。めちゃくちゃ緊張もしているんですけど、今回(USオリジナル版と日本版の)どちらの声優もやらせていただき、こんなに褒めていただけるなんてめっちゃうれしいです」と、喜びを爆発させた。
渡辺が日本版声優として参加した『リメンバー・ミー』でストーリーアーティストを務めたシャラフィアン監督も「大使役のキャラクターたちは常に好奇心が感じられるのですが、彼女はその部分を本当に捉えていると思います。そのため、英語版と日本語版の両方で彼女に参加してもらえたことに、私たちは非常に感謝しています」と語っている。
そして、渡辺は会場で大勢のファンと一緒に、完成した映画を鑑賞。上映終了後、渡辺は「最高でした!マジ泣いた!私たちのシーンは断片的に観たことはあったんですけど、全編を観て、友だち愛と家族愛、最高…!!(会場内は)大盛り上がりですよ。泣けるシーンとか、笑えるシーンとか、焦るシーンとか、いろんな喜怒哀楽が出てきて、最高の映画でした、めっちゃ観てほしい」と大興奮。さらに、「聞いてください、エンドロールに名前が出てきました。それも感動!“オーヴァ Naomi Watanabe”って出た時に、もうすっごい感動しました。うれしい!」と、USオリジナル版声優としてオーヴァを演じた喜びを明かした。
『モンスターズ・インク』(01)や『インサイド・ヘッド』(15)など全世界を感動で包み込む大ヒット作の数々を手掛けてきたドクターは本作について「この作品は素晴らしいです。心温まるし、おもしろいし、映像も目を見張るほどです。私たちは皆、人生のどこかで『自分は人と違っていて、どこかおかしいのではないか、誰も自分のことを好きではないし、ここは自分の本当の居場所なのか』と感じる時があるものです。自分の居場所がない、なじめないと悩むことが時々あると思いますが、エリオもそれを非常に強く感じていて、この映画で最も重要なポイントです。『ああ、あの場面は自分にも当てはまる』と感じてほしいです」と、誰もが共感できる映画になっていると太鼓判を押している。また、本作のプロデューサーを務めたドラムは、「これは、ピクサーで制作した最も美しい映画の1つです。これまでにない規模で、見たことのない世界が広がっています。本当に圧倒されるので、ぜひ大スクリーンで観てほしいです」と、本作をアピール。
シャラフィアン監督は本作に込めた想いについて「エリオとグロードンは見た目が全然違って、遠く離れた場所から来ていますが、本質的にはどちらも愛されたいと願う孤独な子どもたちです。彼らが会う瞬間は、まるでこれが運命だったかのように感じられ、彼らの友情は私にとって非常にリアルで、映画の核心です。観客がそれを見られるのを待ち遠しく思っています」と語る。
思春期ならではの葛藤や成長、そして世代を超えた“親子愛”を描き高い評価を得た『私ときどきレッサーパンダ』(21)を手掛け、本作でも監督を務めるシーは「私たちは皆、エリオのような孤独な子どもだったんです。星を見上げて、自分の居場所や仲間を見つけることを願っていました。彼は銀河の冒険に出かけるけど、その深層にあるのは、この孤独と憧れです。そして、それは私たち全員が共感できるものだと思います」と語った。
さらにオルガを演じたサルダナは「ピクサーは本当に心打たれる、考えさせられる物語とキャラクターを届けてくれます。小さな子どもが『自分の居場所を探したい』と戦っているだけでなく、傷ついた心を癒そうとしているんです。そして、彼の人生で非常に大きな出来事から悲しみを乗り越えようとしている最中なのです」と、地球でひとりぼっちの少年エリオの物語の一端を明かしている。
会場には、主人公エリオ役のヨナス・キブレアブや、コミュニバースの支配を企むエイリアンのリーダー、グライゴン役のブラッド・ギャレットらも登場。ピクサーらしいカラフルな星々の世界を舞台に、ユニークで可愛いエイリアンのキャラクターたちが彩る、感動のファンタジー・アドベンチャーにふさわしい大盛り上がりのプレミアとなった。
文/山崎伸子