「日本アニメに新たな風格をもたらした」仏アヌシー映画祭で快挙達成の『ChaO』!授賞式後のサイン攻めまで、現地の熱狂を詳細レポート
フランス南東部のアヌシーで、今年も現地時間6月8日から6月14日にかけて行われた、世界最大規模のアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭」。世界各国から200を超える多種多様なアニメーション作品が集結したなか、映画祭のメインを飾る長編コンペティション部門でグランプリ“クリスタル賞”に次ぐ審査員賞に輝いたのが、日本から出品されたSTUDIO4℃の最新作『ChaO』(8月15日公開)だ。
このたびMOVIE WALKER PRESSでは、本作でメガホンをとった青木康浩監督をはじめ、現地入りした『ChaO』チームの模様を独占レポート。現地メディアやファンとの交流に、世界最速上映会の様子。そして、世界中の誰よりも早く本作を鑑賞した現地のアニメファンたちの熱量たっぷりのコメントを、青木監督のインタビューや作品の注目ポイントを交えながら紹介していこう!
日本アニメと縁の深い仏アヌシー映画祭で、『ChaO』が8年ぶりの快挙を達成!
本作は、世界的に有名なアンデルセン童話の一つである「人魚姫」をベースにしたオリジナルアニメーション。人間と人魚が共存する未来社会。船舶をつくる会社で働くサラリーマンのステファン(声:鈴鹿央士)は、ある日、人魚王国のお姫様であるチャオ(声:山田杏奈)に求婚される。人間と人魚の友好関係のためと周囲が盛り上がるなか、訳もわからぬまま結婚を承諾するステファン。純粋でまっすぐなチャオの愛情を受けるうち、彼は徐々にチャオに惹かれていくのだが…。
1960年にカンヌ映画祭からアニメーション部門が独立するかたちで設立されたアヌシー国際アニメーション映画祭。湖に面した美しい景観から、“フレンチアルプスのヴェニス”や“フレンチアルプスの真珠”とも称される水の都アヌシーで行われる本映画祭は、ザグレブとオタワ、そして2020年に終了した広島と共に国際アニメーション映画協会の公認を受けた“世界4大アニメ映画祭”の一つとして知られ、そのなかでも最も長い歴史を誇る。
かつては2年に一度の開催だったが、1990年代後半からは毎年行われるようになり、今年で49回目の開催。世界的なアニメーションの発展と共に進化と拡大を続け、近年では長編や短編、テレビシリーズや広告、VR作品にいたるまで様々なプラットフォームの作品が一同に会す場に。アニメ界をリードするトップクリエイターの最新作や次代を担う学生クリエイターの作品まで幅広く上映され、アニメファンはもちろん映画ファンや業界関係者からも大きな注目が寄せられている映画祭だ。
日本のアニメ作品も、映画祭がスタートしてまもない1960年代から様々な作品が出品され、高い評価を獲得。まさにアニメが世界に誇る日本文化の一つとなった礎は、アヌシーが築きあげたといっても過言ではないだろう。長編コンペティション部門ではこれまで、宮崎駿監督の『紅の豚』(93)、高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』(95)、湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』(17)がクリスタル賞を受賞。また短編部門でも山村浩二監督の『頭山』(03)と、加藤久仁生監督の『つみきのいえ』(08)がグランプリに輝いている。
『ChaO』が受賞した審査員賞は、過去に原恵一監督の『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』(15)と、片渕須直監督の『この世界の片隅に』(16)が受賞。今回の受賞は日本アニメにとって8年ぶりの快挙となった。