フローレンス・ピューが髪を剃るワンテイク撮影の舞台裏に迫る!『We Live in Time この時を生きて』メイキング映像

フローレンス・ピューが髪を剃るワンテイク撮影の舞台裏に迫る!『We Live in Time この時を生きて』メイキング映像

『ブルックリン』(15)のジョン・クローリー監督最新作『We Live in Time この時を生きて』(公開中)。本作より、主演のフローレンス・ピューが髪を剃るシーンのメイキング映像が解禁となった。

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【写真を見る】子役のグレース・デラニーの演技をアンドリュー・ガーフィールドが絶賛![c] 2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

本作は、時代の最先端を走るスタジオA24が北米配給権を獲得した話題作。ピューと共にアンドリュー・ガーフィールドが主演を務める。主人公は新進気鋭の一流シェフ、アルムート(ピュー)と、離婚して失意のどん底にいたトビアス(ガーフィールド)。自由奔放なアルムートと、慎重派のトビアスという正反対の性格を持つ2人は、運命的に出会い、恋に落ちる。幾度も試練を迎えながらも、やがて一緒に暮らし始め、娘が生まれ、家族としての絆を深めていく。そんななか、アルムートの余命がわずかであることがわかり、共に生きるトビアスに驚きの決意を告げる。

今回解禁されたのは、アルムートが髪を剃るシーンにフォーカスしたメイキング映像。演じるピューが実際に髪を剃り、ワンテイクで撮影されたというこのシーンは、キャストと製作陣の並々ならぬ覚悟が込められている。本作の中でも特に重要な場面の一つであり、病気のため髪を剃るアルムートが、その出来事を家族にとっての「楽しい思い出」に変えようとする穏やかで美しいシーンだ。

2023年、突如披露されたピューの大胆な坊主ヘアは、ファッションイベントやレッドカーペットの場にて注目を集め、SNSやメディアでも大きな話題に。しかしそのスタイルは、本作に深く寄り添った役作りの一環だったことが、今回の映像で明らかになった。その後も、伸びてきた髪を幾度もカラーチェンジするなど、常に大胆な変化を見せてきたピュー。映像内では印象的なヘアスタイルの背景にあった、知られざる役作りの秘話も明かされている。

初めて脚本を読んだ時の心境についてピューは、「脚本での髪を剃るシーンは、とても美しく、幸福感や生命感に満ちていました。映画のメッセージが深く理解できた」と説明する。まさに一発勝負の撮影だったにもかかわらず、心穏やかに当日を迎えたという。一方で、彼女の髪を実際に剃ったのは、共演のガーフィールド。ピューとは対照的に緊張しながら撮影に挑んだそうで、「人の頭を剃るなんて初めてでドキドキした。しかもカメラの前で」と撮影時の様子を率直に言葉にする。

当初、スキンヘッド用のカツラでの撮影を想定していたというクローリー監督。「彼女は初めて会った時こう言った。『この役のために髪を剃る』」と思い返しながら、ピューの言葉に驚いた当時のエピソードを明かしている。それに対してピュー自身は、「剃らない選択肢はなかった。このような役柄では演技のうちですから」とまっすぐに答える。髪を剃るという現実の行為と、ワンテイクの緊張感。その両方が合わさることで、その瞬間の美しさと彼女の勇気を、圧倒的なリアリティで捉えることに成功している。

続けて、クローリー監督は「我々は時間をかけて、物語ではない現実感を描き出していく。頭を剃るというのは、明らかに現実の行為で、役柄にとって極めて重みのあることだ」とワンテイク撮影の意義を語る。また、このシーンを含む多くの場面は、手持ちカメラによる至近距離の撮影で行われている。2人の心の機微を繊細に捉えるために採用されたこの撮影方法は、カメラマンとピューの間に豊かでクリエイティブな心の通い合いを生み出し、スクリーン上でもその繋がりが輝きを見せている。

実際に撮影を担当した撮影監督のスチュアート・ベントリーは、ピューの演技に胸を打たれて涙を流し、撮影を一時離れなければならないこともあったという。ピュー以外の全員が目に見えてナーバスになっていたという撮影日について、かのベントリーは「うまくいくか不安でした。やり直しがきかない一発撮りですからね」と、当時の張りつめた空気を振り返る。

さらに、ガーフィールドは2人の娘を演じた子役の演技も絶賛。「娘役を演じた子役は存在感のある名女優だ。彼女のおかげで自然に演じられた。絆と愛を感じることができましたよ」と語るように、娘役グレース・デラニーの自然体な振る舞いが、このシーンのリアリティをさらに引き立てていたようだ。

最後にクローリー監督は、「2人とも卓越した感情表現を見せている。特に、2人が笑い合う時の目の輝きが印象的だった。この映画で最も好きなシーンの1つだ」とキャストたちの演技を称賛したところで、映像は締め括られている。


公開されたばかりの『We Live in Time この時を生きて』。フローレンス・ピュー、アンドリュー・ガーフィールドらキャストたち、製作陣の情熱が込められた印象的なこの場面を、ぜひスクリーンで体感してほしい。

文/平尾嘉浩

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