強烈な個性を放つ美しき怪優、ミア・ゴス!集大成『MaXXXine マキシーン』に至る、これまでの歩みをプレイバック
スクリーンに映っているだけで目が離せない。そんな女優をいま、一人挙げるとすれば、これはもうミア・ゴスだ。「ゴシック」を意味するゴスという名字(芸名ではなく本名)もさることながら、眉の薄い独特のビジュアルにもインパクトがある。美しさを感じさせる一方で、怖さも漂わせているのはゴスの名にふさわしい!?ともかく、強烈な個性派俳優、さらにいえば美しき怪優であることに疑問の余地はない。
『X エックス』、『Pearl パール』に続く三部作の完結編『MaXXXine マキシーン』
そんな彼女の最新主演作『MaXXXine マキシーン』が6月6日(金)より公開される。『X エックス』『Pearl パール』(ともに22)に続いてホラー界の俊英、タイ・ウェスト監督とタッグを組んだ三部作の完結編で、ゴスは『X エックス』で演じたポルノ女優マキシーンに再び扮する。
舞台は、正体不明のシリアルキラーが世間を騒がせている1980年代のハリウッド。そこからくる恐怖に抵抗しつつ、映画スターになるべく突き進むマキシーンに明るい未来は訪れるのか?言うまでもなく、ゴスは今回も鮮烈な存在感を発揮し、衝撃的な展開と相まって観る者の脳裏にこびりつくようなマキシーン像を作りだしている。この機会に、ゴスのこれまでの歩みについてざっくりと復習をしておこう。
いきなりラース・フォン・トリアーによるR18作品で映画デビュー!
ゴスは1993年、ロンドンでカナダ出身の父とブラジル出身の母の間に生まれた。16歳の頃からモデルとして活動。母方の祖母がブラジルで女優の仕事をしていたこともあり、ゴスもこの頃から映画などのオーディションを受けるようになる。そして20歳の時に、デンマークの異才ラース・フォン・トリアーの『ニンフォマニアック Vol.2』(13)で初めての役を得た。色情狂の女性がたどるセックスの冒険を描いた二部作のこの後編は、当然ながらR18指定。デビュー作にして異性同性問わずの性描写や放尿シーンにも挑んだのだから、肝が据わっている。彼女の“怪優”ぶりはすでにここからスタートしていた。
ホラーを中心に唯一無二の存在感を発揮
その後、『The Survivalist』(15)での演技が高く評価され、英国インディペンデント映画賞にて新人賞にノミネート。『エベレスト 3D』(15)でハリウッドにも顔が売れだしたゴスは、アメリカが製作に絡んだ作品にも積極的に出演するようになる。とりわけ彼女の個性が生きたのは、やはりホラーだった。『キュア ~禁断の隔離病棟~』(16)や『マローボーン家の掟』(17)ではミステリアスな少女を演じ、ルカ・グァダニーノ監督による傑作のリメイク『サスペリア』(18)では呪われたダンススクールのダンサーを演じて強い印象を残した。
このほか、潜水艦の中で暮らし、戦場の兵士たちを狩る女性を演じた『メーデー 彼女たちの戦争』(21)、大金を払ってクローンを作ればどんな罪も許されてしまう観光地が舞台の『インフィニティ・プール』(23)に出演。唯一無二の存在感を発揮し、狂気を秘めたキャラクターを体現してきた。
俳優以外でもヴォーグ、ミュウミュウのモデルとして活躍。『ニンフォマニアック Vol.2』で共演したシャイア・ラブーフとは交際と破局、結婚、離婚を経て2022年に復縁。長女が誕生している。