強烈な個性を放つ美しき怪優、ミア・ゴス!集大成『MaXXXine マキシーン』に至る、これまでの歩みをプレイバック
ポルノ女優マキシーンと殺人鬼の老女パールを一人二役で演じる
しかし、彼女の名を大々的に知らしめたのは、なんといっても『X エックス』だ。先述した通り、彼女は撮影のために農場を訪れたポルノ女優マキシーンを演じているが、加えて農場のオーナーの一人である老女パールを老けメイク姿で演じてもいる。高齢で体の自由が効かないが、それでいて性欲過多で、なおかつ恐ろしい殺人鬼。奔放なマキシーンも、そしてパールもインパクトのあるキャラクターだが、そのどちらにも血肉を与えたゴスの怪演はホラーファンの枠を超えて賞賛された。
この老女パールの若き日を描いたのが『Pearl パール』で、ゴスはスターに憧れを抱きながら、殺人に手を染めていく主人公を演じている。ミュージカル女優を気取った作り笑顔が愛らしさを通り越して不気味に見えてくるのだから凄まじい。
『MaXXXine マキシーン』はミア・ゴスの集大成!
さて、注目の『MaXXXine マキシーン』。主人公マキシーンは気鋭監督が撮るホラー映画の主演に抜擢される。夢を叶えるためなら、どんな障害も蹴散らす意思を持っている彼女は、夜道で襲ってきたレイプ犯には倍返しで逆襲し、スキャンダルを暴こうとするしつこい探偵をも蹴散らす。シリアルキラーが立ちはだかってきても怯まない。
とにかく肝が据わっているのだが、すべてはスターになるという夢のため。これは意思の力か、それとも狂気か!?今後もギレルモ・デル・トロによる11月配信予定のNetflix映画『フランケンシュタイン』、クリストファー・ノーランの歴史大作『The Odyssey』(2026年7月17日北米公開)といった注目の出演作が控えているが、いずれにしても、本作がゴスの現時点での集大成といえるだろう。美しき怪優の大熱演に注目してほしい。
文/相馬学
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