北米で実写版『リロ&スティッチ』が特大ヒットスタート!『ミッション:インポッシブル』最新作を撃破し、サマーシーズンの主役候補に

北米で実写版『リロ&スティッチ』が特大ヒットスタート!『ミッション:インポッシブル』最新作を撃破し、サマーシーズンの主役候補に

先週末(5月23日から5月25日)の北米興収ランキングは、上半期最大の書き入れ時であるメモリアル・デイ(戦没将兵追悼記念日)の連休週末。祝日となった5月26日を含む4日間の全体の総興収はなんと3億3000万ドルを超え、過去最高だった2013年を上回るメモリアル・デイ週末の新記録を更新。その後押しとなったのが、ディズニーの実写版『リロ&スティッチ』(6月6日日本公開)と、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(日本公開中)の2本だ。

ディズニーの実写化はやはり強い!数ヶ月前の苦境を吹き飛ばし、早くも復権
ディズニーの実写化はやはり強い!数ヶ月前の苦境を吹き飛ばし、早くも復権[c]Everett Collection/AFLO

初登場でNo. 1に輝いたのは、『リロ&スティッチ』のほう。初日から3日間の興収は1億4601万ドルと、歴代35位のオープニング成績であり、ディズニーアニメの実写化作品としては『ライオン・キング』(19)と『美女と野獣』(17)に次ぐ第3位。祝日を含めた4日間の興収は1億8260万ドルにのぼり、従来のメモリアル・デイのオープニング興収No. 1だった『トップガン:マーヴェリック』(22)を2000万ドルほど上回ることに成功している。

いまから23年前に公開されたオリジナルの『リロ&スティッチ』(02)は、キャラクターとしての人気は獲得したものの興行的にはまずまずのものだった。その北米最終興収を、今回の実写版リメイクではたった3日間で上回ったことになる。そして公開6日目には累計興収2億ドルをサクッと突破。近年のファミリー向け作品の興行的持続力を加味すれば、さらに上を目指せるはず。『白雪姫』(24) で暗雲が立ち込めたディズニーの実写化の流れに、非常に明るい希望の光が射し込んだといえよう。

【写真を見る】『ファイナル・レコニング』はシリーズ最高のオープニングを叩きだしたものの、史上最高額の制作費がネックに?
【写真を見る】『ファイナル・レコニング』はシリーズ最高のオープニングを叩きだしたものの、史上最高額の制作費がネックに?[c]Everett Collection/AFLO

一方、『ファイナル・レコニング』のほうは初日から3日間で興収6403万ドル、祝日を含む4日間では興収7904万ドルと、『リロ&スティッチ』にダブルスコア以上の差をつけられての2位発進。それでもこのオープニング成績は、前々作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(18)を上回るシリーズベスト。トム・クルーズの主演作としても、『トップガン:マーヴェリック』と『宇宙戦争』(05)に次ぐ歴代3位の好成績だ。

日本では非常に安定した興収を保ち続けるハリウッド屈指の大ヒットシリーズとしてのイメージが強い「M:I」シリーズだが、北米では『フォールアウト』の興収2億2000万ドルが過去最高(充分高い興収ではあるのだが)。前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE』(24)は『フォールアウト』から制作費が1億ドル近く増額したものの、全世界興収は2億ドル以上も下落。今作はさらに1億ドル以上上乗せの4億ドルの制作費がかけられており、興行的には“これまで以上”の特大ヒットが要求されるが、その点ではかなり厳しい戦いになるかもしれない。

観客からの評価の高さが、そのまま興行に反映されている『リロ&スティッチ』
観客からの評価の高さが、そのまま興行に反映されている『リロ&スティッチ』[c]Everett Collection/AFLO

そんな両作の評価を、批評集積サイト「ロッテン・トマト」でチェックしてみよう。『リロ&スティッチ』は批評家からの好意的評価が69%とオリジナルを下回りつつも、興行成績に直結しやすい観客からの評価は93%とオリジナル以上。納得の数字だ。対して『ファイナル・レコニング』は批評家からが80%で観客からが89%。初期3作はともかくとして、4作目以降は常に批評家から90%超えの高評価を得ていたことを考えると、やや物足りなく見えるのが正直なところ。


いずれにしても、今後続々公開されるサマーシーズンのビッグタイトルと戦えるだけの機動力を備えた2作品。この勢いに乗って、今年の夏は久しぶりに北米の映画界に活況が戻ってきてくれると信じたい。


文/久保田 和馬

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