ちょっとズレた人たちの“すれ違い”ファンタジー！『ユニバーサル・ランゲージ』8月公開決定
カンヌ国際映画祭の監督週間において最高賞となる観客賞を受賞し、アカデミー賞国際長編映画賞のカナダ代表にも選出された『ユニバーサル・ランゲージ』が8月29日(金)に公開決定。あわせて、特報＆ティザービジュアルが到着した。
監督を務めるのは、カナダ首相の座を巡る権力争いを皮肉と遊び心たっぷりに描いたブラック・コメディ『The 20th Century』(19)がベルリン、トロントなど主要な国際映画祭をはじめ、全世界で絶賛されたマシュー・ランキン。架空のカナダにある街、ウィニペグを舞台に、ちょっとズレた人々が織織り成す、“すれ違い”ファンタジーが展開される。ランキン監督は、「この映画の主要なテーマの一つは“人に優しくすること”」と語っており、言語や文化、さらには自分と他人との境界も曖昧になって混沌とする町で起きる日常の風景が切り取られている。切れ味鋭いユーモアセンスと、アッバス・キアロスタミやジャック・タチなどの巨匠たちに強く影響を受けたテイストを感じ取れる作品となっている。
物語の舞台は、ペルシャ語とフランス語が公用語になった、“もしもの世界”のカナダのウィニペグ。暴れ回る七面鳥に新調したメガネを奪われたと語る少年オミッドは、学校の先生から黒板の字が読めるようになるまでは、授業を受けさせないと理不尽な待遇を突き付けられてしまう。同情した同級生のネギンと姉のナズゴルは、凍った湖の中に眠る大金を取りだして、新しいメガネを買ってあげようと思いつく。
姉妹は、大人にお金を取りだすためのアドバイスを求めるも、街の住民たちは、みんなちょっとヘンテコな人たちばかりで、なかなか良い助言がもらえない。思うようにいかないなか、廃墟を観光スポットとして紹介する奇妙なツアーガイドのマスードや、仕事に嫌気が差して自暴自棄になったマシューも登場すると物語は思わぬ方向へ。てんやわんやな状況に陥っていたネギンとナズゴルは、無事にオミッドにメガネを買ってあげられるのだろうか。
今回完成した特報は、“もしもの世界”に生きる主人公のネギン＆ナズゴル姉妹の登場シーンからスタートする。「お姉ちゃん！一大事だよ！早く！」という掛け声とともに花屋を飛びだした姉妹と一緒に、架空の町の景観が映しだされていき、美しい光景を眺めることが出来る。建物の壁面には「全世界100以上の映画祭を席巻！」という情報が表示されながら、不思議な住民を目の当たりにした、姉妹のキョトン顔が確認出来る。
そして、「ちょっとズレている人々が織り成す“すれ違い”のケミストリー」というテキストとともに特報は閉幕される。BGMで流れている楽曲のタイトルは「Oh the World Is Laughing(世界は笑ってる)」であり、本作のイメージにマッチした曲が採用されている。
日本オリジナルのティザービジュアルは、ウラケン・ボルボックスがイラストを手掛けている。テレビ東京の「あちこちオードリー」のDVDパッケージ用イラストのほか、環境省のアメリカザリガニ拡散防止PRイラスト、福岡市地下鉄七隈線「六本松」駅の壁画などに携わってきたイラストレーターが、『ロボット・ドリームズ』(23)も手掛けたth designのデザインを元にイラスト化した。
階段の様な段違いに描かれたイラストで、1段目には同級生のメガネを買うために奮闘するネギン＆ナズゴル姉妹の姿が細かいレンガ造りの壁面とともに描写されている。そのほかの段には、ウィニペグの街並みや、物語を動かす個性強めな大人たちも描かれ、段違いにすることで“すれ違い”というテーマも表現している。「人は、関わり合うことを止められない。あなたも誰かに優しくなれる」というコピーも踊り、ポップでキッチュなビジュアルに仕上がっている。
公開を記念し、ムビチケ前売券が6月20日(金)より発売予定。購入者特典として映画の舞台となるウィニペグの観光ガイドブックが付く。架空の都市を舞台にしたフィクションだが、きっとそれは周辺でも起きている日常の風景でもある。『ユニバーサル・ランゲージ』に引き続き注目してほしい。
文/平尾嘉浩
