『We Live in Time』で新たな魅力を発見!『ミッドサマー』、『サンダーボルツ*』に出演してきたフローレンス・ピューのこれまで

コラム

『We Live in Time』で新たな魅力を発見!『ミッドサマー』、『サンダーボルツ*』に出演してきたフローレンス・ピューのこれまで

『ブラック・ウィドウ』のエレーナ役でMCUに参戦!

勢いづいたピューは『ブラック・ウィドウ』(21)で、スカーレット・ヨハンソン扮する主人公の義妹であり、訓練を受けた殺し屋でもあるエレーナ役でMCUに参戦し、アクション演技もイケることをアピール。さらに、同年のMCUのドラマシリーズ「ホークアイ」でも同役を演じて知名度を上げていく。先述の『サンダーボルツ*』で三度エレーナを演じたのはご存じの通り。ちなみに、ピューが最初にアクションに挑んだのは、実在の女子プロレスラー役で出演した『ファイティング・ファミリー』(19)でこちらも必見だ。

ならず者チームの活躍を描くMCU最新作『サンダーボルツ*』
ならず者チームの活躍を描くMCU最新作『サンダーボルツ*』[c]2025 MARVEL

ナチュラルな演技で魅せる『We Live in Time この時を生きて』

さて、注目の新作『We Live in Time この時を生きて』に話を移そう。英アカデミー賞に輝く『ブルックリン』(15)のジョン・クローリーが手掛けた本作。気鋭のシェフ、アルムート(ピュー)は、少々気弱だが繊細な優しさを持つ男性トビアス(アンドリュー・ガーフィールド)と恋に落ちる。ところが、娘が生まれ家族となった矢先、アルムートの癌が再発。治療に苦しむだけの日々はもうたくさん。最期まで楽しく前向きに生きたい。そう考えた彼女はトビアスに支えられ、人生最後の大きな挑戦に打って出る。

ついに2人は家族に!(『We Live in Time この時を生きて』)
ついに2人は家族に!(『We Live in Time この時を生きて』)[c] 2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

いわゆる難病モノではあるが、感傷的なお涙頂戴描写は一切なし。人生の選択をポジティブに見つめ、生活のなかの泣き笑いをリアルに捉えている。

娘が生まれ幸せに包まれる(『We Live in Time この時を生きて』)
娘が生まれ幸せに包まれる(『We Live in Time この時を生きて』)[c] 2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

このドラマに説得力を与えているのが、ピューのナチュラルな演技だ。死ではなく生を見つめようとする強い意志を瞳に宿らせながら、感情の機微を伝える姿は観客の共感を引きつけずにおかない。全裸での演技にも臆せず挑むばかりか、癌治療のために避けられない断髪の場面では実際に自らの髪を切り落とすという挑戦もこなし、アルムートという女性になりきった。

アルムートの癌が再発する(『We Live in Time この時を生きて』)
アルムートの癌が再発する(『We Live in Time この時を生きて』)[c] 2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION


これはまさに、フローレンス・ピューの女優としての凄みを存分に見て取れる一作。彼女が体現した味わい深い感動に、ぜひ触れてみてほしい。

文/相馬学

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