「サイコ・ハウス」で運命的な伏線回収!『MaXXXine マキシーン』4ショットインタビュー
独立系映画スタジオとして快進撃が続くA24製作の大ヒットシリーズで、『X エックス』(22)、『Pearl パール』(22)に続く最新作『MaXXXine マキシーン』(6月6日公開)。このたびエリザベス・デビッキ、リリー・コリンズ、ホールジーら豪華キャストとタイ・ウェスト監督が一堂に揃った4ショットスペシャルインタビュー映像が解禁された。
本作の舞台は、1985年のハリウッド。巨大な撮影スタジオに、ブロンドの女、マキシーン(ミア・ゴス)が姿を現す。ポルノ女優として人気の頂点にいた彼女は、”本物のスター”になるために新作ホラー映画のオーディションに参加していた。その頃のロサンゼルスは、連続殺人鬼ナイト・ストーカーの恐怖に包まれており、マキシーンの周囲でも女優仲間が殺害される謎の事件が発生。騒動のなか、見事主演の座を射止めたマキシーンは、ようやくスターダムを登り始めるが、そんな彼女に、6年前に起きた事件のトラウマを知る「何者」かが近づく…。
今回解禁されたのは、出演キャストと監督によるスペシャルインタビュー映像。取材場所は、名作ホラー『サイコ』(60)に登場する丘の上の家=「サイコ・ハウス」が見えるユニバーサル・スタジオ・バックロット内。デビッキが、ウェスト監督の犬を撫でるシーンや、A24の仕掛け(?)を疑うコリンズなど、普段では見られない姿も満載で、それぞれが本作の「大ファン」であることを熱く語る貴重な動画となっている。
ハリウッド大通りや、ユニバーサル・スタジオ・バックロットにあり、ヒッチコック監督の名作ホラー『サイコ』にも登場する「ベイツ・モーテル」や丘の上の家=「サイコ・ハウス」など、『MaXXXine マキシーン』には、ハリウッドの象徴的なロケーション撮影が実現していることも見どころの1つとなっている。気鋭の映画監督を演じたデビッキは、「台詞に出てくるものが目の前にあるという撮影ができるなんて、ハリウッドではほとんどゼロに近い確率」と、実際の撮影セットでの撮影が、作品世界への没入感への大きな助けになったと振り返る。
マキシーンの仕事仲間を演じたミュージシャンのホールジーは本作で映画初出演を果たしたが、撮影初日、完全に封鎖されたハリウッド大通りに立った瞬間の衝撃をいまでも忘れられないという。「ハリウッド大通りのすべてを封鎖した。80年代のストリップ店や車、進行人などを完全に再現したよ。そこに足を踏み入れた瞬間『嘘でしょ』と驚いた」と、まるでトム・クルーズが主演し、撮影のためにタイムズスクエアを封鎖した映画『バニラ・スカイ』(01)のようだったと感動を口にしつつ、その壮大なセットの一部になれたことへ感謝を述べた。
また、劇中映画『ピューリタン』の主演を務め“スクリーム・クイーン”を演じたコリンズもまた、日常的に見慣れていた大通りが見事に80年代仕様へと変貌した姿を目撃した時、「まるでタイムワープ」のような感覚を覚えたという。「やっと映画の撮影用だと気づいて、違う時代の違う世界観にいることが本当に楽しかった」と、本作での撮影体験の非現実感を明かした。
ウェスト監督にとっても、特に「サイコ・ハウス(丘の上の家)」での撮影は本作の核だったという。「(シリーズ1作目の)『X エックス』でRJとロレインが『サイコ』について議論する場面があるんだけど、撮影当時はまだこのシリーズが3部作になるなんて知らなかった。だからいま思えば、あのシーン自体が伏線だったんだ」と語る。ならば時代設定にも合い、シリーズや『サイコ』のファンにも訴えるものがあると確信し、「実際のサイコ・ハウスで伏線回収する」ことを考え、すぐに本作の脚本に取り入れたと明かす。そして「実際に“あの家”のなかに入り、時間を過ごし、写真を撮った。信じられない体験だった。『サイコ』を撮ってるわけじゃないのに、不思議とその空気が漂っていて…これはキャリアのなかでも一生に一度の経験だった」と、その特別な時間を振り返っている。
キャスティングに関してもそれぞれが想いを語るシーンも。コリンズは『X エックス』と『Pearl パール』の大ファンだったが、当時彼女の代表作は、ファッションを中心としたコメディドラマ「エミリー、パリへ行く」だった。「本シリーズとは真逆の世界観だった。タイ監督がリスクをとって予想もしないような役をくれてとても感謝してる」と大胆な配役に驚きながらも喜びを語る。
ホールジーもまた同シリーズの「大ファンだった」と言う。ミュージシャンとして活動するなかで映画業界へ挑戦する難しさを感じながらも、熱意を持ってオーディションに臨んだと言うホールジー。特に『X エックス』に出演したキッド・カディの姿に刺激を受け、自身もオーディションを経て本作に参加したので、今回与えられたチャンスに対して深い感謝の気持ちを語っている。
インタビュー中には、「サイコ・ハウス」から不気味な物音が聞こえたことに、驚くコリンズたち。マキシーンとパールを演じた主演のミア・ゴスが出てくるかも?と本国配給のA24の「ドッキリ」ではないか?と疑って、楽しそうに盛り上がるオフショットや、飼い犬を抱いてインタビューを受けていたウェスト監督の犬を愛しそうに撫でるデビッキの素の表情など貴重なインタビュー映像となっている。
奇跡の3部作『X エックス』、『Pearl パール』の完結編にして強烈なフィナーレを飾る『MaXXXine マキシーン』をぜひ映画館で見届けてほしい。
文/山崎伸子