パディントンが愛され続ける理由とは?人のために行動し、親切心を忘れない紳士クマのこれまでをプレイバック

コラム

パディントンが愛され続ける理由とは?人のために行動し、親切心を忘れない紳士クマのこれまでをプレイバック

イギリスの作家マイケル・ボンドによる児童文学を映画化したシリーズ3作目『パディントン 消えた黄金郷の秘密』(公開中)。主人公はペルーからロンドンにやって来たクマのパディントン。モフモフな見た目は愛らしく、素直で人を疑うことを知らず、親切心にあふれた紳士然としたキャラクターも人気の理由となっている。過去シリーズを振り返りながら、パディントンの魅力を再確認したい。

パディントンは失踪したルーシーおばさんと再会できるのか?(『パディントン 消えた黄金郷の秘密』)
パディントンは失踪したルーシーおばさんと再会できるのか?(『パディントン 消えた黄金郷の秘密』)[c] 2024 STUDIOCANAL FILMS LTD. – KINOSHITA GROUP CO., LTD. All Rights Reserved.

マーマレードが大好きなクマ、パディントンが憧れのロンドンへ

ペルーのジャングルを訪れたイギリス人探検家が、知性を持ったクマの夫婦と遭遇するところから始まった『パディントン』。双方は意気投合し、探検家は人間の文化や故郷であるロンドンのすばらしさ、そしてマーマレードジャムの美味しさを伝え、いつか再会することを誓って去っていった。

それから40年が経ち、クマの夫婦、パストゥーゾおじさん、ルーシーおばさんと暮している子グマのパディントン。2人からロンドンについて聞かされ、特にルーシーおばさんの作るマーマレードジャムには目がなく、オレンジのシーズンが来るたびに大はしゃぎしている。しかしある日、突然の大地震が発生し、パストゥーゾおじさんが死んでしまう。

まだ小さかった頃のパディントン(『パディントン 消えた黄金郷の秘密』)
まだ小さかった頃のパディントン(『パディントン 消えた黄金郷の秘密』)[c] 2024 STUDIOCANAL FILMS LTD. – KINOSHITA GROUP CO., LTD. All Rights Reserved.

悲しみに暮れるなか、おばさんが老グマホームに入居することを決め、パディントンは憧れていたロンドンに旅立つ決意をする。持って行くのは、パストゥーゾおじさんの形見である帽子にスーツケースに入れた大量のマーマレードジャム。そして、帽子の中にはおじさんに倣って非常食のマーマレードサンドを忍ばせている。

マナーを大切にし、挨拶やコミュニケーションを欠かさない

パディントンの魅力といえば、素直な性格と人と積極的に関わろうとする前向きさ。探検家が残した蓄音機からロンドンで暮らすためのマナーを学んでおり、人とすれ違った時は挨拶し、会話に詰まれば天気の話をすればいいという教えを、早速ロンドンのパディントン駅でも実践する。

ブラウン家の父ヘンリーを演じるヒュー・ボネヴィル(『パディントン』)
ブラウン家の父ヘンリーを演じるヒュー・ボネヴィル(『パディントン』)[c]Everett Collection/AFLO

ところが、忙しそうに行き交う人々はパディントンを無視。途方に暮れるなか、大切なマーマレードサンドをハトに上げようとする優しさも見せている。そんな時、ヘンリー(ヒュー・ボネヴィル)とメアリー(サリー・ホーキンス)の夫婦、2人の長女ジュディ(マデリン・ハリス)と長男ジョナサン(サミュエル・ジョスリン)らブラウン一家と出会い、極度の心配性であるヘンリーから煙たがられつつも、バード夫人(ジュリー・ウォルターズ)も暮らす彼らの家に泊めてもらうことに。この時、英語の名前が必要ということで、メアリーから「パディントン」と命名されている。

ブラウン家の母メアリーを演じるサリー・ホーキンス(『パディントン』)
ブラウン家の母メアリーを演じるサリー・ホーキンス(『パディントン』)[c]Everett Collection/AFLO

トラブルメーカーとしての一面も

ジャングルしか知らないパディントンにとって、ロンドンでの暮らしはなにもかもが初めてのことばかり。長旅の疲れを癒すため、お風呂を勧められた際には、歯ブラシで耳掃除をし、マウスウォッシュを飲み物だと思ってゴクゴクと飲んでしまう。カーッとなった喉を和らげようと、便器に顔を突っ込むパディントン。今度は便器を詰まらせて水道管を破壊し、どんどん浴室に水が溜まっていく。天井近くまで水が迫ったところで、ヘンリーが扉を開け、家を水浸しにしてしまうのだった。

親切心を持って行動。一方で失礼な人には…

探検家に会えば住む家を与えてくれるかもしれない。彼の情報を得るため、メアリーと共に骨董品店を営むサミュエル・グルーバー(ジム・ブロードベント)のもとを訪れたパディントンは、店内で怪しい動きを見せた男が財布を落として去っていくのを目撃する。財布を返すため、走って逃げる男を追っているうちに街中は大騒動に。なんとか男に追いついたところ、その正体がスリの常習犯であることが発覚。一躍、パディントンは街のヒーローになるのだった。

この活躍もヒーローになろうとしたのではなく、あくまでパディントンが持つ親切心がもたらした結果。一方で、優しいだけでなく、失礼な人にはちゃんと間違いを指摘できる芯の強さも持っている。ヘンリーが探検家の存在を疑った際に、じっと彼を睨めつけるパディントン。これは“にらみの目”と呼ばれていて、向けられた人はだんだんと体が熱くなり、緊張や不安で気分が悪くなってしまうのだ。

ブラウン一家と本当の家族に

探検家の名前がモンゴメリー・クライドだと判明。しかし彼は、珍しいクマを捕獲して剥製にしなかったことから地理学者教会から追放されていた。そのことで極貧生活を強いられた彼の娘であり、自然史博物館の剥製部長を務めるミリセント(ニコール・キッドマン)がパディントンを捕らえて剥製にしようとする。

パディントンを剥製にしようとするミリセントを演じるニコール・キッドマン(『パディントン』)
パディントンを剥製にしようとするミリセントを演じるニコール・キッドマン(『パディントン』)[c]Everett Collection/AFLO

自然史博物館へ駆けつけたブラウン一家の協力もあり、なんとか脱出に成功したパディントン。再び銃を持ったミリセントに追い詰められるが、あれだけ追い出したがっていたヘンリーが「種族が違っていようが、マーマレードぐせが悪かろうが、パディントンは家族だ!」と立ち向かっていく。かくして、パディントンはブラウン家の一員として、晴れてロンドンで暮らすことになるのだった。


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