濱口竜介監督最新作はフランス、日本ほか国際共同制作『急に具合が悪くなる』2026年に公開

濱口竜介監督最新作はフランス、日本ほか国際共同制作『急に具合が悪くなる』2026年に公開

<スタッフコメント>

●濱口竜介(監督、脚本)

「宮野真生子さん、磯野真穂さんの著作『急に具合が悪くなる』の映画化をここに発表できることを、とても嬉しく思います。原作者のお二人にも、この場を借りて、心よりの御礼をお伝えしたく思います。いまはパリで撮影の準備をしております。約4年前にオフィス・シロウズの松田広子プロデューサーからこの本を映画原作として提案されてから、ずいぶん長い時間を経ました。お二人の往復書簡から成るこの本を初めて読んだときの感覚は『心を強く動かされた』という言葉では足りません。往復書簡という形式、しかも二人の学者の全キャリアと魂を賭けたような議論に対していったいどう取り組んだらよいかは、まったく見当はつきませんでしたが『映画にしたい』という火が心に灯ったような感覚がありました。その灯火に導かれて、随分と遠くまで来てしまったように思います。映画『急に具合が悪くなる』はフランスの介護施設のディレクター、マリー=ルーと、がんを患う日本の劇演出家、真理の間にとある偶然から生じた、出会いと交流を描く物語になります。どうしてこうなったのか、短くは決して説明できないというのが正直なところです。ここまでの曲がりくねった歩みを要約することは不可能に思えます。なので、自分を導いてくれた原作の一節を書きつけることにします。『関係性を作り上げるとは、握手をして立ち止まることでも、受け止めることでもなく、運動のなかでラインを描き続けながら、ともに世界を通り抜け、その動きのなかで、互いにとって心地よい言葉や身振りを見つけだし、それを踏み跡として、次の一歩を踏みだしてゆく。そういう知覚の伴った運動なのではないでしょうか』マリー=ルーをヴィルジニー・エフィラさんが、真理を岡本多緒さんが演じることになります。お仕事を以前から存じてはいたものの、まさかこうしてご一緒できる機会があるとは思っていなかったお二人なので、とても興奮しています。今夏、最高のキャスト、スタッフと撮影する映画『急に具合が悪くなる』が、原作の引いたラインを更に延ばしていくものとなるよう、自分にできることはなんでもやるつもりでいます。どうぞ、ご期待ください」


文/スズキヒロシ

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