歴史的一枚“ヒトラーの浴室”の撮影秘話とは?『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』特別映像
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(24)の主人公のモデルにもなった、実在した一人の女性の情熱的で数奇な運命を映画化した『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』(5月9日公開)。豪華キャスト陣が撮影秘話を語る特別映像、新ポスタービジュアルが解禁となった。
トップモデルから写真家に転身し、歴史的一枚“ヒトラーの浴室”を記録したリー・ミラー。本作では20世紀を代表する女性報道写真家が実際に目の当たりにした戦争の悲劇が映しだされる。その名を歴史に刻んだミラーの人生には、マン・レイ、パブロ・ピカソ、ココ・シャネル、ジャン・コクトー、ダリ、コンデ・ナストら時の天才たちとの交流があった。その輝きは写真家としての活動を始めてからもますます強くなり、凄まじい情熱とエネルギーで戦場へと赴いていく。彼女が写しだす写真には、唯一無二の芸術的センスに加え、人間が持つ脆さと残酷さの両方が刻みこまれ、いまもなお、人々を惹きつける歴史的記録として真実を伝えている。
今回解禁となったのは、主演のケイト・ウィンスレットをはじめ、アンディ・サムバーグ、アレクサンダー・スカルスガルド、マリオン・コティヤール、ジョシュ・オコナー、アンドレア・ライズボローなど、ウィンスレット自らのキャスティングで本作出演が実現した豪華キャスト&制作陣が集結した特別映像。約10分に及ぶ映像には、見応え&聴き応えたっぷりの情報が詰め込まれており、彼らが明かすミラーについて、そして本作の持つ力強さについて存分に堪能できる。
映像にはミラーの実の息子であるアントニー・ペンローズも登場する。「母を突き動かした思いや、恐怖に負けなかった理由が描かれています」と息子から見た母の生き様が語られ、本作の根底にはミラーの「情熱の物語があります」と出来栄えにも満足している様子だ。
このほか映像には、初公開となる本編シーンやメイキング映像も満載。戦争が激しさを増していくなか、パリの自宅でやせ細り、やつれた姿で悲しみを纏うキャラクターを体現したコティヤールは、その衝撃シーンについて「リーは、友人たちの身に起きたことを知ります」と物語を振り返る。本編ではミラーが記録した本物の写真も使われており、ダッハウ強制収容所や、ライプツィヒ市長の娘の写真を記録したシーンも確認できる。
中でも80年前の4月30日、ヒトラーが自殺を図ったその日、ミュンヘンのヒトラーのアパートを取材したミラーが、アパートの浴室で自らが浴槽に入った写真を撮らせる、という印象的なシーンにも注目したい。本作において最も象徴的と言えるこの場面についてウィンスレットは、「ヒトラーの浴室の場面は不可欠だった。アパートには米兵が侵入し、パーティー中。実際の写真を忠実に再現したの。リーがバスマットに付けたダッハウ(強制収容所)の泥まで」と撮影の裏側を明かしている。
あわせて、日本限定の新ポスタービジュアル3種も到着。力強い眼差しで物事を捉えようとするウィンスレット演じるミラーの姿をはじめ、起こっている真実を記録し伝えようと衝動的に走り出し、戦地で横になり自身のトラウマや戦争の残虐さと葛藤するなど、情熱的な彼女の様々な心情を切り取ったビジュアルとなっている。「リーは女性が求める情報を熟知し、自身が理想とする女性像があった。女性らしさと力強さをあわせ持つ人でした。決して自分をごまかさない人だった。そこにパワーを感じます」と明かすその言葉からは、ウィンスレットが本作にかけた情熱と想いが伝わってくるはず。
また、本作のコラボタイアップも続々と決定。場面写真やメイキング写真を一堂に展示する、映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』特別企画展が新宿の北村写真機店のイベントスペースにて開催されるほか、東京都内の日比谷Barの店舗でも期間限定特別カクテルを楽しむことができる。
ヒトラーの浴室を記録した報道写真家、リー・ミラーの知られざる人生を描いた『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』。彼女はいかにして従軍記者になったのか。戦争の前線で目撃した真実と、人生をかけて遺したものを劇場で確かめてほしい。
文/平尾嘉浩