【ネタバレなし】「スター・ウォーズ」史上最高の声も!「キャシアン・アンドー」シーズン2第1~3話をレビュー
「スター・ウォーズ」の最新ドラマシリーズ「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」のシーズン2が、ディズニープラスにて独占配信中だ。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(以下、『ローグ・ワン』)において、デス・スターの設計図を盗むために行動する反乱同盟軍の部隊“ローグ・ワン”の中心人物である、キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)の過去を描いた物語の完結編であり、『ローグ・ワン』で語られる反乱同盟軍の未来をかけた作戦の直前にあたる4年間の戦いが描かれることになる。
映画やドラマの批評の集計サイト「Rotten tomatoes」では、批評家たちから驚異の99%フレッシュ(4月23日現在)を獲得し、“「スター・ウォーズ」史上最高のストーリーテリング”であると世界中で注目が集まっている。また、先日大盛況のうちに閉幕した「スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025」でシーズン2第1話がサプライズ上映され、「本当に神ドラマS2で、大期待大満足」「スリリングで、随所にユーモアのあるオープニング」などと、すでにSNS上でも絶賛の声が相次いでいる本作。今回はシーズン2の全12話のうち、配信中の3話までの感想をネタバレなしでお届けしよう。
伝説の戦いに至るまでの、カウントダウンがスタート!
シーズン1では、キャシアンが本格的に反乱活動に対して目覚めるまでの流れを主軸に、女性議員モン・モスマ(ジュネヴィーヴ・オーライリー)やルーセン・レイエル(ステラン・スカルスガルド)らの活性化していく反乱同盟側、反乱ネットワークを構築しようとする謎の人物“アクシス”を追うデドラ・ミーロ(デニス・ゴフ)を中心とした銀河帝国側、そしてキャシアンの故郷である惑星フェリックスの人々という、主に4つの視点が交錯するように物語が展開された。
視点を入れ替えることで、圧政を強いる帝国に対して、人々のなかに反乱に向けた想いがだんだんと芽生え、やがて銀河を変えるための大きな動きとなる、“始まりと希望”を感じさせる物語となっていた。
続くシーズン2は、惑星フェリックスで反乱運動への大きなうねりを生むきっかけとなった事件の1年後から幕を開ける。反乱同盟に身を置き、キャシアン自身が『ローグ・ワン』の劇中で語った、帝国に勝利するための“後ろ暗い任務”に就いていることがわかるシーンから新たな物語がスタート!冒頭では「ヤヴィンの戦いから4年前」というテロップが表示される。
この「ヤヴィンの戦い」とは、シリーズ第1作である『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』(77)において、ルーク・スカイウォーカーが反乱同盟軍に加わり、デス・スターを破壊し、反乱同盟軍が帝国軍に対して初めて大きな勝利を挙げた戦いのことだ。「スター・ウォーズ」の歴史においては伝説とも呼べる、最も重要とされる戦いに向けての4年間がカウントダウンされていくのだろう。このことによって視聴者は、否が応でもキャシアンが参加するデス・スターの設計図を追う“ローグ・ワン”の作戦が近づいてくることを意識せずにはいられないはずだ。
そしてシーズン1と同じく、キャシアンの視点を中心としつつ、モスマやルーセンたちの反乱同盟を動かす側と、それに敵対するデドラら帝国側はそのままに、新たに組織として本格的に活動を始めた反乱同盟の視点が加えられているのも特徴的だった。
反乱同盟は帝国の支配から脱しようとする、ある種の“革命”運動を行っているわけだ。しかしその内情は、政治家のバックアップで活動する規律正しい軍隊的組織から、帝国に対する復讐心を強く持つ過激派、自分たちの住む惑星での活動を主とするパルチザン的な組織などが混在している状況。この思想が混在している様子が、ほかの作品ではあまり描かれていない反乱同盟内での課題や問題点なども言及され、彼らがどうやって一枚岩になっていくのか?その動きにも注目していきたい。
「スター・ウォーズ」史においても重要なポイント、“惑星ゴーマン”
『ローグ・ワン』絡みと言えば、さらにもう一つ重要な要素がシーズン2からは加わっている。キャシアンにとっては『ローグ・ワン』で因縁の相手となったオーソン・クレニック長官(ベン・メンデルソーン)の登場だ。クレニックは帝国の先進兵器研究部門の長官、つまり超兵器となるデス・スターにまつわる計画の司令官。帝国側の視点に新たにクレニックが加わることで、デス・スターの完成に向けた脅威が強まっていることが明らかとなる。そして、物語の進行で重要な要素であり、クレニックとキャシアンたちの思惑が交錯する舞台となるのは、“惑星ゴーマン”だ。
惑星ゴーマンは、「キャシアン・アンドー」シーズン1やアニメシリーズ「スター・ウォーズ/反乱者たち」、そして「スター・ウォーズ」の歴史背景を解説する関連書籍などで言及があった星のこと。帝国が力を見せつけ、反乱運動に大きな影響を与えることになった“ゴーマンの虐殺”が行われた地である。銀河帝国の総督であるモフ・ターキンの乗った宇宙船の入港を、帝国に対して抗議運動を行う市民が平和的に阻止しようとした際に起こった事件で、市民が集まるなか、故意に着陸を強行して多くの人々が犠牲となった。この事件がきっかけとなり、惑星ゴーマンは帝国に対して最も不満が高まっている場所となっているのだ。
そんな惑星ゴーマンを、帝国がどうしても手に入れなければならない大きな理由がシーズン2で語られていくことになる。惑星ゴーマンを巡る政治的な駆け引き、そして様々な思惑が交錯が今後の大きなポイントとなっていくだろう。