【TOHOシネマズ 府中篇】かつて『ニュー・シネマ・パラダイス』体験ができたスクリーンも?映画館にまつわる歴史&トリビアを大特集!
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』さながらの体験ができた!
いまでこそきちんと整備され、洗練した街となった府中だが、くるるがオープンしたころは、まだ発展途上の段階だったため、「TOHOシネマズ 府中」という映画館が誕生することへの期待も大きかったとか。そのころの当館には、百何十人のスタッフがいて、最初はまず「府中に映画館ができる!」という認知度を高めようと、人が集まる大國魂神社のお祭りで割引券を配ったり、いろいろなサンプリングを行ったりと、社員やアルバイトも含めて総出で動いていたという。
また、当時の支配人によると「オープン当初、SCREEN 1の映写室は、映写機が見えるようなガラス張りだったんです。通常、映写室は、一般の方は入れないし見られないという閉ざされた空間ですが、ここでは1日に4~5回ぐらい、フィルムを交換するのを、お客様に見せるようなこともやっていました。いまはもうフィルムではなく、デジタルになってしまったので、そのような光景は見られませんが、当時、お子さまもよくご覧になっていました」とのこと。これはまさに、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)の世界!きっと子どもだけではなく、映画好きの大人たちもワクワクして、映写技師の方の所作を見ていたに違いない。
ほかにも営業の一環として、地元の小学校や中学校などに働きかけ、映画館での職業体験なども行っていた。子どもたちに、もぎりや清掃などをやってもらったほか、時にはインカムを使い、お客さんの誘導をアナウンスしてもらったりもしたとか。
そういう様々なPR活動を、一致団結して行っていたスタッフ陣。おそらく映画館で働くことの楽しさをそこで見出したに違いない。実際にオープン当時、アルバイトから社員になり、現在は支配人以上になったというスタッフが3名もいるそうだ!当時の支配人は「我々としては、映画館を立ち上げた時から見ている子たちなので、いまもこの業界で頑張ってくれていることがとてもうれしいです」と微笑む。まさにそういう人材こそ、映画業界の未来を担う宝だと思うが、府中での日々のサポート体制がどれほど行き届いていたのかも実感させられる。
加えて「時代は変われど、いまも映画をお客様に心から楽しんでいただける環境を用意したいという想いは、20年来ずっと変わっていないと思います」と力強く語る元支配人。
「劇場は20年経ち、多少の経年劣化はあるかもしれませんが、お客様に当館を選んでいただけるようなきれいさは維持していると自負しています。また、常に従業員が快くお客様を迎えいれられるような体制は、いまでも十分出来ていると思うので、ぜひ当館へお越しいただきたいです」としっかりアピール。その魅力は十分伝わってきたので、ぜひこの機会に府中を訪れてほしい。
なおTOHOシネマズの全国17劇場で開催中のアニバーサリーキャンペーンでは、4⽉から12⽉の9か⽉間にわたって、様々なサービスを展開していく。対象劇場は今回特集した府中をはじめ、5周年の池袋、⽴川⽴⾶、10周年の新宿、ららぽーと富⼠⾒、アミュプラザおおいた、15周年の上⼤岡、20周年のひたちなか、⽔⼾内原、津島、⼆条、直⽅、25周年の浜松、ファボーレ富⼭、岐⾩、泉北、⼤分わさだの17劇場だ。ぜひ最寄りの場所や気になっている映画館をチェックし、お目当ての映画を観に行っていただきたい。
取材・文/山崎伸子