『夜明けのすべて』三宅唱監督の最新作!『旅と日々』にシム・ウンギョン、堤真一が出演
<コメント>
●三宅唱(監督)
「つげ義春さん、つげ正助さんに心より感謝申しあげます。ここ数年、家でも旅先でもマンガや紀行文をくり返し読んできました。畏怖すら覚えるほど面白く、逃げだしたくなる日もありましたが、編集中のいま、とことん新しい映画が生まれそうだという感触があります。シム・ウンギョンさん、堤真一さん、各部署の仕事は驚くほど純度の高いものです。ぜひ大きなスクリーンで堪能していただきたい。ぞわぞわしながらお待ちください」
●シム・ウンギョン(李役)
「三宅唱監督とご一緒できたらいいなとずっと思っていました。でも、まさかこんな早くチャンスが来るとは思わなかったので、最初はお話を聞いて、嘘でしょう?と言った記憶があります。ここ数年間で読んだ台本のなかで最も好きな物語の台本でした。(演じた李について)本作は自分の自然体そのままで入ることが大事だと思い、旅に来て自分自身が感じていることを表現しました。悩んだ時は監督に相談して、一緒に作り上げていく作業がすごく楽しかったです。(三宅監督は)すごくパワフルで、とても素晴らしい監督だなと思いました。この現場で、いままで経験できなかったことを新たに経験できて、お芝居に関しても、映画に関しても学びましたし、響いたことがたくさんあります。堤さんからインスパイアをたくさんいただきました。すごく会話があるわけじゃないですが、なにかつながっているような気持ちもあって、こういうことを絆っていうんだろうなと思いました。まさに『旅と日々』という映画はそんな『絆』に関しての映画であるということを実感した日々でした。李という役は、私でもあり、そしてみなさんでもある。みなさんが映画を見て、李とともに映画館で旅をすることができたら、それはなによりうれしいですね。完成をとても楽しみにしています。つげ義春さんの漫画を読むと、物語は静かに進み、何事も起こってないようなのに、大きく響いてくるものがある。そういうつげさんの漫画の力をたくさんいただいて、李という役を頑張ろうと決めました」
●堤真一(べん造役)
「つげ義春さんの独特の世界観で、特別なことはなにも起きないけれど、ちょっとしたことが『それも人生』と思える作品だと思いました。脚本を読んで『ぜひやらせていただきたいです』と即答しました。(べん造役は)とにかく言葉が難しかったので、撮影に入る前から何度も方言指導のテープを聞いていました。普段はここまで全部覚えることはないのですが、今回は、初めてと言っていいほど、しっかりと叩き込んでから撮影に入りました。また、セットや衣装もとても助けになりました。三宅監督の演出は無駄がなくて、とてもシンプルです。かといって決め付けるのではなく、現場で一度芝居を見て、動きも見る。『不思議な世界』だけど『非現実的』ではない、とても現実的な表現でこの作品を捉えられている気がします。『こんなことは初めてなんですけど』と監督はおっしゃっていましたが、一度リテイクしたシーンがあるのですが、それでかなりそぎ落とされたんです。リテイクって面倒な作業ですが、監督の機転の利かせ方や流れの変え方を見ることができて、すごく面白かったです。(共演したシム・ウンギョンは)日本語ができる韓国人の役ですから、彼女らしさが存分に出ているのではないかと思いました。撮影の間も、いつも楽しそうで、明るい方ですね。特別なことはなにも起きない、その土地で生きる人、不器用に生きる人の物語です。高級店ではなくて、おじいちゃんとおばあちゃんがやっている町中華のほうが安心するような感覚。妙に落ち着けて、クスっと笑えるような、そういう作品になると思います」
文/平尾嘉浩