A24発異色のヒューマンドラマ『終わりの鳥』“死”を告げる鳥がHipHopの名曲を歌う本編映像
アメリカの製作、配給スタジオA24が放つ異色のヒューマンドラマ『終わりの鳥』(4月4日公開)より、“死”を告げる鳥「デス」がHipHopの名曲を歌うユーモラスなシーンを収めた本編映像が解禁された。
地球を周回して生きものの“終わり”を告げる鳥デスと、その鳥と寄り添う病を抱える少女。かたや一心不乱に鳥と闘う少女の母親。世にも奇妙なデスと突如対峙することによって、母娘2人は間もなく訪れるであろう別れを次第に受け止めてゆく。次世代を牽引する新たな才能を発掘してきたA24のもと、長編監督デビューを飾ったのはクロアチア出身のダイナ・O・プスィッチ。タバコをくゆらせ、ラップのリズムを刻むチャーミングなキャラクターを造形する一方で、“死”という観念を奇想天外に視覚化、その苦悩にも触れるなど奥行きのあるストーリーに仕立てた。繊細でウィットに富んだチューズデー役には『恋人はアンバー』(20)のローラ・ペティクルー。シリアスとコミカルを横断する絶妙なバランスで母親ゾラを演じたのは、エミー賞常連の人気テレビシリーズ「VEEP/ヴィープ」で知られるジュリア・ルイス=ドレイファス。
このたび解禁されたのは、しゃべって歌って変幻自在なデスが歌って踊る軽妙な姿を収めた本編映像。デスには、死を迎える者たちの声が常に響いており、その声に導かれるようにチューズデーのもとにもやって来た。しかし、ひどく汚れ、心身ともに疲れ果てていたデスをチューズデーはお風呂に入れてあげ、優しく迎え入れる。そして、母親が帰宅するまで待ってもらうため「私を殺す前に、この曲を聴いて。気に入ると思う」とIce Cubeの「It Was a Good Day」を聞かせようとする。チューズデーは「歌の主人公はたぶん…悲惨で苦しい人生を送っている誰か。その人にとって“いい日”っていうのは…」と曲について説明をすると、デスがリズムに合わせて彼女に近付いてくる。そして「“良い日”とは悲惨な出来事のない日♪」と歌い始め、気持ち良さそうにリズムに乗って踊り出す。チューズデーにこの曲を知っているかと尋ねられたデスは「クラシック」と答えている。ちなみに「It Was a Good Day」は1993年にリリースされており、本作のエンディングテーマとしても使用されている。
本編の中でもひときわチャーミングなデスの姿が見られ、監督のプスィッチもお気に入りのシーンのひとつに挙げている。プスィッチは、Ice Cubeの「It Was a Good Day」を選曲した理由を「どのような環境や状況で過ごしていても、なにも起こらない日はあるはずです。そんな平和な一日に感謝したくなるようなことが、チューズデーやゾラ、デスにだってあると考えていく中で、自分が描こうとしている物語にこの楽曲がとてもマッチしているんじゃないかと思い、セレクトしました」と明かし、Ice Cubeが本作を観たかは分からないそうだが「もし観てくれていたら嬉しい…」と期待を膨らませる。
A24が放つ異色のヒューマンドラマとして注目されている本作。劇場公開を前に先行公開された本編映像で作品の世界観に触れてみて!
文/スズキヒロシ