“不思議な森”や“7人のこびと”。現代のテクノロジーで作り上げられた実写版『白雪姫』の世界
1937年に当時最新鋭の技術を駆使し、ディズニー初の長編映画かつ世界初のカラー長編アニメーションとして歴史を切り拓いた不朽の名作『白雪姫』(37)。同作をディズニー自らの手で実写化した『白雪姫』(公開中)は、いったいどのように作られていったのか。監督&スタッフ陣の談話と共に、その制作の裏側に迫っていこう。
「いまこそこの映画を作る絶好のタイミングだと感じました。その理由のひとつは、現代のテクノロジーを使えば、かつてはアニメーションでしか描けなかったファンタジーの世界を創りあげることができるからです」。そう語るのは、本作のプロデューサーを務めたジャレッド・ルボフ。アニメーション版の世界観を実写化することに総力をあげたと明かすルボフは、その象徴として“ファンタジーの世界”と“愛すべきキャラクターたち”の2点を挙げる。
“ファンタジーの世界”を代表するのは、やはり“不思議な森”。白雪姫が女王から命を狙われ迷い込むこの森は、恐ろしい木々や可愛らしい動物たち、7人のこびとの家など幻想的な魅力にあふれている。プロダクション・デザイナーを務めたケイヴ・クインは、この魔法にかかった世界を実写で再現するために多くの時間を費やしたという。7人のこびとの家は茅葺き屋根で内装には木材を使用。柱や階段に施された彫刻まで細かく採用し、劇中歌「口笛ふいて働こう」のシーンで白雪姫が弾くピアノのデザインもアニメ版を見事に再現。細部まで忠実に作りあげることで、実写版の作品世界の礎を築きあげた。
一方、“愛すべきキャラクター”についても、綿密なリサーチが重ねられた。メガホンをとったマーク・ウェブ監督は「私たちの揺るぎないゴールは、オリジナルのアニメーション映画を尊重しているように感じられながらも、この映画で描こうとしている新しい世界も反映したキャラクターを創作することでした」と説明。
特に、最先端のCGによって実写化された7人のこびとについては「てれすけ、先生、おとぼけ、おこりんぼ、ごきげん、ねぼすけ、くしゃみの7人は、年齢が数百歳。魔法のかかったおとぎ話の国に暮らす存在なので、異世界的なクオリティがなければいけません。オリジナルで描かれた彼らのユーモアやチャーミングさも享受しつつ、各人に感情の起伏やちょっとした深みも加えたいと考えました」と、実写だからこそできる新たな個性を付与することに注力したという。
ちなみに、そんな7人のこびとと人間のキャラクターの共演シーンの撮影は、パペットを使用して行われた。『リトル・マーメイド』(23)にも参加したリード・パペッティアのロビン・グイヴァーは「パペットによるパフォーマンスがあることで、撮影現場にいる監督や出演者は、それらを相手に演じながらクリエイティブな可能性を探ることができます」と振り返る。こうして様々な撮影技術を駆使して表現の幅が広がったことで、観客たちを魅了する『白雪姫』の世界が完成していったのだ。
オリジナルのアニメーションから88年。新たなミュージカル映画としてさらなる輝きを増して現代のスクリーンに蘇った『白雪姫』。細部に込められた作り手たちのオリジナルへのリスペクトを感じながら、魔法に満ちた世界をスクリーンでたっぷりと味わってみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬