20世紀を代表する報道写真家が語る真実とは?『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』ロング予告
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(24)の主人公のモデルにもなった報道写真家、リー・ミラーの情熱的で数奇な運命を映画化した『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』(5月9日公開)。このたび、本作のロング予告が解禁となった。
本作で描かれるのは、写真家として戦争の最前線を駆け抜け、20世紀を代表する報道写真家となり、その名を歴史に刻んだリーの人生。モデル時代にマン・レイやパブロ・ピカソ、ココ・シャネル、ジャン・コクトー、ダリ、コンデ・ナストら時の天才たちを魅了してきた輝きは写真家へと転身してからも光りを放ち、凄まじい情熱とエネルギーで戦場へ赴く写真家となった。彼女が写しだす写真には、唯一無二の芸術的センスに加え、人間が持つ脆さと残酷さの両方が刻みこまれ、いまもなお、人々を惹きつける歴史的記録として真実を伝えている。
今回到着したのは、初解禁となる本編シーンがたっぷり含まれた長尺版のロング予告。自身の意思で戦争の最前線を駆け、死と隣合わせの恐怖に震えながらも決してカメラを下ろすことがなかったリー(ケイト・ウィンスレット)の強い決意と信念を感じさせる映像だ。
新たに追加されたのは、主に戦地でのリーの姿を収めたシーンとなっており、「女は戦場に送らない」、「女性に入る権利はない」と言われるも、男性ばかりの最前線で1人、荷物を抱えて力強く歩みを進め、いくつもの困難に立ち向かって現状を打破していく力強い姿が確認できる。さらに映像内では、1945年のブーヘンヴァルト強制収容所とダッハウ強制収容所が解放されたその日に、現地に初めて足を踏み入れた時の悲惨な現実を記録するシーンも収められている。恐ろしく悲しい真実に苦悩し、葛藤する様子が切り取られ、「悲惨な所だと覚悟はしていた。戦場は想像と違った。現実だった」と悲痛な思いを言葉にするリー。彼女がカメラを通して伝えたかった真実は何だったのかと、観る者に強く訴えかけてくる予告映像だ。
一方で、戦地でリーと行動をともにし、生涯の友人となった「LIFE」誌のフォトジャーナリスト、デイヴィッド・シャーマン(アンディ・サムバーグ)と絆を深める様子や、リーの写真を取り上げた英国版「VOGUE」の編集長オードリー・ウィザーズ(アンドレア・ライズボロー)との葛藤、そして、ソランジュ・ダヤン(マリオン・コティヤール)やヌーシュ・エリュアール(ノエミ・メルラン)ら戦争に巻き込まれていく友人たちとの出来事も丁寧に紡がれている。
突きつけられる残酷な真実に傷つき、犠牲を払いながらも、不屈の精神と迸る情熱で写真を撮り続けたリー・ミラー。彼女が戦争の最前線で目撃した真実、人生をかけて遺したものとは。20世紀を代表する最も偉大な女性報道写真家の知られざる人生を描く『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』に注目してほしい。
文/平尾嘉浩