秘めた顔をもつ新人刑事役で新境地を開拓!『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』“国民的年下彼氏”チョン・ヘインが見せてきた様々な顔
強い覚悟がにじむ表情に唸る『ソウルの春』
1979年12月、大統領暗殺後の混乱の中で権力奪取を狙う人々と秩序を守ろうとする人々が火花を散らした一夜を臨場感たっぷりに描きだした『ソウルの春』(23)。実際に起きた出来事に映画的な想像力を加味して作り上げたこの群像劇は、韓国で1300万人以上の観客を動員。のちに大統領となる全斗煥(チョン・ドゥファン)をモデルにした軍人チョン・ドゥグァン役のファン・ジョンミンを筆頭に、驚くほど多数の俳優たちが次々と登場する。チョン・ヘインは、反乱軍に追い詰められた上官とともに戦う兵士を壮絶に演じ、短い登場シーンながら鮮烈な印象を残した。
普段と、幼なじみだけに見せる顔のギャップにキュン「となりのMr.パーフェクト」
ラブコメディ「となりのMr.パーフェクト」では、「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」や「ある春の夜に」といったリアリティのあるラブストーリーや、BLACKPINKのジスと共演したドラマティックな「スノードロップ」では見られなかったコミカルな面を発揮。実際にも同い年のチョン・ソミンとの息の合ったやりとりで笑わせながら、幼なじみへの気持ちを抑え続けてきた主人公のせつない想いを表現している。
時折回想される高校時代のシーンでは制服姿も自然に見せ、初恋のときめきが伝わってくる。まっすぐでピュアなキャラクターがチョン・ヘインらしい。
末っ子感は活かしつつ、新たな魅力を発揮『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』
そして、日本でも公開が迫る『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』で演じたのは、人手不足に悩む凶悪犯罪捜査班にスカウトされる若き熱血刑事パク・ソヌ役。先輩刑事ソ・ドチョルに憧れて警察官となったと話し、危険を顧みずに捜査に没頭するが、同僚たちも知らない別の顔を持つという人物だ。役作りにあたっては鏡を見ながら顔の筋肉を動かして研究し、いままで自分でも見たことのなかった表情を生みだしたという。トレードマークの柔らかな笑顔の奥に見える冷たい光に注目してほしい。また、長時間をかけてトレーニングを重ねた総合格闘技の技も、映画のキーポイントとなっている。
レッドカーペットでまぶしく輝くスターであると同時に、アクションからラブストーリー、SFまで、どんなジャンルの作品のなかでも揺るぎないキャラクターを作り上げ、観客を物語のなかに引き込む力を持つ俳優チョン・ヘイン。2月には「徹子の部屋」に出演して魅力を発揮し、日本での知名度も上昇中だ。次回作はラブストーリーとも囁かれている彼の今後から目が離せない。
文/佐藤結