3年連続の興収40億円超え達成なるか?ファン大絶賛の『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』が近年最高のスタート
3月7日から3月9日までの全国映画動員ランキングが発表。春休み映画の本格的な幕開けとなったこの週末は、注目の新作タイトルが続々と公開され、2021年の11月第1週目以来およそ3年4か月ぶりに前週からトップ3の顔ぶれが総入れ替え。そのなかで首位を飾ったのは、もちろん春休み映画の本命『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』(公開中)だ。
3年連続の興収40億超えへ!『映画ドラえもん』が堂々1位
「映画ドラえもん」シリーズの45周年記念作にして、長編映画第44作(2021年がコロナ禍の影響で上映がなかったため)となる『のび太の絵世界物語』。初日から3日間の成績は、観客動員が57万1000人で興収は7億300万円。これは昨年の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』(24)対比で動員が106%、興収が107%と、コロナ禍以降で最高の初動成績であり、3年連続の興収40億円超えが見込めるスタートとなった。
今作でドラえもんたちが冒険を繰り広げるのは、絵のなかの世界を通してたどり着いた13世紀ヨーロッパの小国アートリア公国。メガホンをとったのは『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』(11)や『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』(13)の寺本幸代監督で、脚本はテレビシリーズを手掛けてきた伊藤公志だ。
シリーズ45周年というアニバーサリーイヤーであることを抜きにしても、昨年7月に小原乃梨子さんが、昨年9月に大山のぶ代さんが亡くなって最初に公開される「映画ドラえもん」という意味で、長年のファンにとっては特別な作品ともいえる今作。まさに作り手やファンの「ドラえもん」への想いが結実したかのように、公開直後からSNS上では「声優交代後のオリジナル作品でベスト」という声が目立っている。
筆者も公開初日に鑑賞したが、オープニングアニメーションから“絵画”という今作の重要なモチーフの扱い方が光り、往年の名作を想起させる部分と“新しい”部分が見事に混ざり合う練り込まれた表現の数々。そしてなにより、ドラえもんとのび太の友情の深さに触れるストーリーテリングの見事さに心打たれる圧倒的な完成度の高さ。名作のリメイク作品を含めても、2006年以降の「映画ドラえもん」で群を抜いた出来栄えといってもいいだろう。
昨年は同時期に公開された強力なタイトルに押され、初週末しか1位を獲れなかったが、それでも例年通り「名探偵コナン」が始まるまでランキングの上位を賑わせていた「映画ドラえもん」。今年も強力な春休み映画がそろっているが、競合になる作品が少ないだけに、先述の通り興収40億円超えにとどまらず、シリーズ最高興収の『映画ドラえもん のび太の宝島』(18)にどこまで迫ることができるか楽しみだ。