アカデミー賞での歌唱も圧巻!『ウィキッド ふたりの魔女』アリアナ・グランデに夢中になる理由とは?
天真爛漫で天然なグリンダはハマり役!
映画ももちろんミュージカル仕立てなので、グランデにしてみればハマリ役だ。オープニングからしてスターのような輝きを放ち、オズの国の人々と共に歌って踊る。グリンダは常に取り巻きに囲まれており、スクールカーストがあるとすれば最上位の存在。とはいえ、高慢というよりは天真爛漫で、魔法を世のために役立てたいと思っており、一方では少々天然ボケなところがある。たとえば、エルファバと仲よくなった直後、陰キャの彼女を学校の人気者にしてあげようと画策。よかれと思ってしたことだが、単に普通に接してほしいエルファバには有難迷惑でしかないのがおかしい。
この場面でグランデが歌う「ポピュラー」は軽妙でチャーミング。実は彼女は、10数年前にこの曲と一度出会っている。デビューしてすぐにイギリスのシンガーソングライター、MIKAのアルバムで「ポピュラー・ソング」という曲をデュエットしているのだが、このナンバーは「ポピュラー」を改変したものだった。時を経て、オリジナル曲を映画のなかで歌うことになるのだから、因縁めいているというべきか。
エルファバ役シンシア・エリヴォとのデュエットはドラマチックでエモーショナル!
劇中ではエルファバ役であるエリヴォとのデュエットの見せ場も少なくない。ルームメイトとなった頃のいがみ合いソング「ワット・イズ・ディス・フィーリング?」では、学内の活気と相まって作品を賑やかに盛り上げている。また、先述のアカデミー賞授賞式でも歌われたクライマックスの「ディファイング・グラヴィティ」は楽曲だけでもドラマチックだが、映画のスペクタクル、そして両者のエモーショナルな歌声が一体となり感動的なフィナーレへと導く。
かくのごとく、アリアナ・グランデがスクリーンでも強烈なインパクトを与えた『ウィキッド ふたりの魔女』。彼女の大きなステップに注目しつつ、マジカルで楽しく、温かくもせつない世界に浸ってほしい。
文/相馬学