武士の妻の究極の選択を描くインディペンデントの本格時代劇『陽が落ちる』予告編&ポスタービジュアル
すでに海外の映画祭で上映され、高い評価を受けている柿崎ゆうじ監督の本格時代劇『陽が落ちる』が4月4日(金)より公開される。このたび予告編とポスタービジュアルが解禁された。
これまで数々の作品で監督、プロデューサー、キャスティングアドバイザーを務めてきた柿崎監督。メガホンをとった小学館ノンフィクション大賞受賞作の映画化作品『ウスケボーイズ』(18)では、スペイン・マドリード国際映画祭の外国語映画部門で作品賞と主演男優賞、オランダ・アムステルダム国際フィルムメイカー映画祭の同部門でも監督賞と主演男優賞を受賞した。そんな柿崎監督が放つ渾身の監督最新作『陽が落ちる』は、封建の世に生きる武士の妻として、夫を支えながらも家族を守るために己の意志を貫くという武家の女性が主人公の時代劇だ。
舞台は文政十二年の江戸。武家の妻、良乃は、蟄居(謹慎)を命じられた直参旗本である夫の古田久蔵と、幼い息子、駒之助とともに静かに暮らしていた。ある日、旧友の江藤伝兵衛が残した一首の歌が、彼女の平穏を切り裂く。それは、久蔵の沙汰が切腹であるという知らせだった。残された時間で、妻としてなにができるのか。久蔵の誇りを守り、息子の未来をつなぐため、良乃は静かに覚悟を決める。
主演を務めるのは、柿崎監督作で存在感のある演技を魅せてきた竹島由夏。幕府書院番の妻、良乃を演じ、出合正幸扮する切腹を命じられた武士の夫、古田久蔵との日々を通して、武士の妻としての誇りと家族への愛をスクリーンに刻みこむ。共演には前川泰之、藤澤恵麻、黄川田雅哉、酒井敏也、羽場裕一、そして村上弘明といった実力派俳優陣が名を連ねる。
昨年公開し、国内外で多数の映画賞を受賞し話題を集めている『侍タイムスリッパー』(公開中)に続き、本作も日本でインディペンデント作品として生まれた本格時代劇となる。男性の主人公が多い時代劇が多いなか、封建社会でたくましく生きる武士の妻を丁寧に描き、新進気鋭の映画製作者のためのインディペンデント映画祭として名高いロンドン国際映画祭2025の外国語部門最優秀監督賞と、エディンバラ国際映画祭2025の外国語部門最優秀監督賞、外国語部門最優秀作品賞、衣装デザイン賞に輝き、さらにヘルシンキシネアジア映画祭2025にも正式出品されることが決定した。
幕府の命により切腹を言いわたされた夫と、妻の良乃が過ごす最後の一夜を描いた本作は、武士社会の価値観のなかで、家族を守るために己の意志を貫く女性の姿を鮮烈に描きだす。今後の広がりに期待したい。
文/山崎伸子