事実は小説より奇なり!『ヒットマン』『アメリカン・ハッスル』など実話を基にした痛快クライムドラマを紹介
天才詐欺師がFBIの捜査に協力!『アメリカン・ハッスル』
大人の犯罪ドラマにも目を向けてみよう。アカデミー賞候補にもなった『アメリカン・ハッスル』(13)は、1970年代に起きたアブスキャム事件と呼ばれる収賄スキャンダルに基づいている。FBIは議会内の汚職を摘発するため、アラブの大富豪を装ってニセの投資話を広めた。そしてこの作戦にはキーパーソンとして、凄腕の詐欺師が関わっていた!
映画はこの実在の詐欺師メル・ワインバーグをモデルにした主人公アーヴィン(クリスチャン・ベール)の視点で事件を再構築している。デヴィッド・O・ラッセル監督はこの史実にロマンスやコンゲームの要素を絡め、悪いヤツだが人情もあり、事態をなんとか丸く収めようとするアーヴィンの必死の奔走を鮮やかに描出した。
”殺し屋のフリ”が抜群に上手い大学講師の驚くべき実話『ヒットマン』
さて、注目の『ヒットマン』。主人公ゲイリー・ジョンソンはもちろん実在の人物で、普段は気弱だが、囮捜査で殺し屋を演じると、役になりきって強気になってしまうキャラクターとして描かれている。
大学教員として心理学と哲学を教える傍ら、様々な人間に変身し囮捜査に奔走するという2つの顔を持つゲイリー。ある時、殺し屋としての彼にマディソン(アドリア・アルホナ)という女性から夫殺害の依頼が届く。彼はセクシーな殺し屋ロンに扮して彼女の事情を聞いていくが、深入りしていくうちに恋に落ち、逮捕すべき彼女を見逃してしまう!そしてこれが思いも寄らない事態を招くことに…。
捜査対象である殺人の依頼主である女性に殺し屋と思われたまま関係を育まざるを得なくなるのだからおもしろい。映画で描かれるロマンスはフィクションだが、夫からのDVに悩まされ殺害を依頼してきたこの女性を、ゲイリーは逮捕するのではなく、適切な支援を得られるよう手配したのは事実。こういうところに、生身の人間性がにじみ出ている。
『ヒットマン』にはほかにも、毎回異なる殺し屋に変装するパウエルの七変化や、主人公と警官たちとのやりとりなど、ユーモラスな見どころがある。実話が持つ現実味を踏まえつつ、「小説より奇なり」なドラマを楽しんでほしい。
文/有馬楽
『ヒットマン』
発売中 Blu-ray5,500円(税込) DVD4,400円(税込)発売元・販売元:KADOKAWA
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