シンシア・エリヴォ&アリアナ・グランデが『ウィキッド ふたりの魔女』で生まれた友情を語る「困難な時代を生きるには、友情こそ大事な手段」
アカデミー賞で作品賞など10部門にノミネート、2部門で受賞を果たした『ウィキッド ふたりの魔女』(公開中)は、日本では劇団四季の上演などで大人気となったミュージカルの映画化。1939年の名作『オズの魔法使』にも登場した“善い魔女”のグリンダと、彼女が大学で出会い、後に“悪い魔女”となるエルファバの物語が、めくるめく映像美&ミュージカルナンバーと共に展開していく。日本での公開を前に、エルファバ役のシンシア・エリヴォ、グリンダ役のアリアナ・グランデ、そしてジョン・M・チュウ監督の来日が実現。作品への想いや、最高のチームワークが生まれた撮影現場の秘話などを語った。インタビューは、日本語が大好きなアリアナの「よろしくお願いします!」という完璧な発音のひと言でスタートする。
「アリアナこそ、グリンダが“なりたい”人なんじゃないでしょうか」(エリヴォ)
――主演のお二人はオーディションを受けて本作の役を掴んだわけですが、その時の想いから聞かせてください。
グランデ「オーディションに臨む際は心からワクワクしていました。同時に、とにかく勝ち残らなければ…という意気込みでした。できる限りの準備を積もうと思って、オーディションの3か月前からボイストレーニングを始めたのです。オペラの歌唱法を学んだのですが、ソプラノの声帯で歌うには、これまで使ったことのない筋肉の動きも必要だとわかりました。そんなふうにやれることはやったので、あとはジョン(監督)とマーク(製作のマーク・プラット)にすべてを委ね、たとえ結果がダメでも、これだけの努力を誇りに感じられると自分で納得したのも事実です。そこから何度か『もう一度オーディションを』と呼ばれ、ようやく出演が決まりました。振り返ると、いままた同じ状況だったら同じ努力をしたでしょう。それくらい私とシンシアは真摯に努力とトレーニングを重ねましたし、オーディションに勝ち残っただけでなく、いまこの瞬間も多くのものを得ている気分なので、これらの経験には心から感謝しています」
エリヴォ「すべてアリアナが語ってくれたとおりです(笑)」
――それぞれ演じた役、エルファバとグリンダと自身の共通点はありますか?
エリヴォ「物語が始まる時、エルファバは自分の脆さを曝けだすことを恐れています。その恐れは役を演じる私と似ていました。作品を完成させるプロセスを通して、私もよりオープンになっていった気がします。エルファバが愛する人を守ろうとする行動や、彼女の持つ親切心にも共感できました」
グランデ「私にも言わせて!シンシアは本当に優しくて、エルファバのような善の心を持った人なんです。大切な人を守ろうとするし、実は魔法の力も備えた本物の魔女なんじゃないか(笑)」
エリヴォ「では私もあなたのことを話すわ(笑)。グリンダはキラキラと輝き、コミカルな雰囲気も目立つけれど、根本は“光を灯す”キャラクターなんです。誰かが落ち込んでいたり、部屋のムードが暗かったりすると、それを明るくする。アリアナにもそういう資質があります。なにかを学ぶには勇気が必要だけど、その勇気を彼女は持っている。しかも周囲に居心地の良さを与える。これだけの大作で、しかも大役なんて、なかなかできないこと。それでもアリアナは現場でいつも心を開き、コメディのシーンにも躊躇なく飛び込んでいました。ここまでできる共演者を、私は見たことがありません。アリアナこそ、グリンダが“なりたい”人なんじゃないでしょうか」
グランデ「ありがとう…(と感激して涙を流し、スタッフからティッシュを受け取る)」