シンシア・エリヴォ&アリアナ・グランデが『ウィキッド ふたりの魔女』で生まれた友情を語る「困難な時代を生きるには、友情こそ大事な手段」
「こうした作品で大事なのは遊び心です。遊びながら真実を見つけることも大切」(チュウ)
――本作では撮影時に生歌でパフォーマンスする演出が行われました。大きなチャレンジだったのでは?
チュウ「撮影中に生で歌ってもらうのは、最高の判断でした。撮影しながら彼女たちがベストの歌のパフォーマンスを行ったことで、“真実”が見えてきたのです。才能のあるシンガーや俳優の場合、会話の演技から歌へシームレスで滑らかにつながっていきます。通常のミュージカルでは会話と歌が別個のように切り離されがちですが、彼女たちは違う。映画を観る人も、そして演じた彼女たちも、これがベストの演出だと感じているでしょうし、ミュージカルにおける音楽の力を伝えられました。とはいえ誰もこの方法に対応できるわけではありません。シンシアとアリアナだから実現できたのです。僕から見ても、簡単にやってのけているようでした」
――監督はそう言ってますが、演じる側は苦心も多かったことでしょう。
エリヴォ「箒でフライングしながら歌うのは、さすがに苦労しました。地に足をつけての歌唱とまったく違う感覚なのです。特に声を張り上げて歌うような曲は、肺の力だけでなく、肉体全部を使う必要があります。私のナンバー『ディファイング・グラヴィティ』はまさにそれで、重力に代わるものを見つけなくてはなりませんでした。ブレス(息継ぎ)も通常と変え、ハーネスでクルクル回りながら歌うのはチャレンジでありながら楽しんだのも事実です。これまでと違った肉体の使い方、新しいスキルを学んだわけですから。これからはどんな場所でも歌えますよ(笑)」
グランデ「そんなシンシアの歌うシーンを見ているのが、私は最高に楽しかったです。音楽が流れない状況で、彼女が歌うのを聴くこともできました。ミュージカルシーンの撮影では耳の中に小さなモニターイヤホンを装着するのですが、私は片方を外していました。そうしてシンシアのアカペラの生歌を聴けたのは、私とジョン、周囲のスタッフだけ。しかもシンシアが宙吊りの逆立ち状態で歌っていたりして、なんかもう、現実とは思えませんでしたね(笑)」
――本作を観てグリンダやエルファバのマネをしたいと思う人もいるはずです。なにかコツはありますか?
グランデ「グリンダが髪を振り上げる仕草を“トス・トス(Toss Toss)”と呼んでいます。それをマネしてほしいですね。自分らしさをだして、脚を使ったり、ウインクを入れたり…。髪が短ければ小さな動きでもオッケー。私は撮影で、前から後ろへ髪を大きく振り上げるトス・トスに挑み、腰を痛めないか心配したのですが、残念ながら監督にカットされてしまいました(笑)」
チュウ「一応、保険として撮っておいたんだ(笑)」
エリヴォ「エルファバは指の動きがキーポイントです。踊る時、箒に乗る時に指を使った表現を心掛けたので、ぜひマネしてみてください」
チュウ「こうした作品で大事なのは遊び心です。若い俳優にとっては、なにかをマネしたり、演技するのではなく、遊びながら真実を見つけることも大切なんです。そのような現場でしたから、撮影の半分の時間は笑って過ごした気がします。あまりに笑いすぎて、スタッフから『ジョン、セットの外に出て!』と言われたりしましたけど(笑)」