いま韓国映画業界は、リバイバル上映ブーム!ターセム・シンに岩井俊二…韓国の映画ファンに刺さった“色あせない名作“は?
リバイバル上映のきっかけも様々…「最新作じゃなくてもいい」
韓国でのリバイバル上映ブームの幕を開けたのは、ピョン・ウソク、キム・ダミ主演の『ソウルメイト』だ。本作は2023年、韓国で初公開されたときはあまり注目されていなかったが、ピョン・ウソクが2024年に放送されたドラマ「ソンジェ背負って走れ」で大ブレイクしたおかげで、1年ぶりに彼の映画デビュー作のリバイバル上映が決定された。
全国の映画館にピョン・ウソクのファンが集まり、チケットは連日売り切れ。リバイバル上映を記念して制作されたスペシャルポスターやチケットを手に入れるために、何度も『ソウルメイト』を鑑賞したり、ファン同士で映画館を貸切するイベントが開催されたりして、いままでになかった新たなリバイバル上映の文化が生まれるきっかけとなった。
韓国民主主義の存亡を揺るがした衝撃の実話を基にしている映画『ソウルの春』の場合、2024年12月3日に韓国で起きた非常戒厳事態直後、IPTV視聴者数が1000%以上急増。劇場再公開を求める声が高まり、急遽リバイバル上映が決定されるという、笑えないハプニングも起こった。
新作映画よりもリバイバル上映される映画のほうが話題になったり、注目を集める現象について、「このままだと映画産業がますます衰退してしまう恐れがある」という悲観的な見方もある。しかし、映画を映画館だけでなく、OTTサービスやSNSなど、新しい環境のなかで楽しむ人が増えている分、最新作にかぎらず過去の名作や、自分の好みにあう映画を選ぶ人が増えてくるのは当然の結果だ。いま韓国では、「映画業界もこのような変化に適応しなければならない」という声が上がっている。
文/柳 志潤
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