批評家が選ぶ、ウォン・カーウァイ監督作ランキング!色褪せない“フレッシュ”なおすすめ10選

コラム

批評家が選ぶ、ウォン・カーウァイ監督作ランキング!色褪せない“フレッシュ”なおすすめ10選

もっとも高い評価となる95%フレッシュを獲得したのは、レオン・ライとミシェル・リー、金城武、チャーリー・ヤン、カレン・モクといった当時の若手スター5人が共演した青春群像劇『天使の涙』。日本ではミニシアターブームの聖地のひとつである渋谷の「シネマライズ」で公開され、5か月間にわたるロングランを記録。ウォン・カーウァイ人気を決定付けた作品だ。

5人の若者たちの恋愛群像劇『天使の涙』が95%フレッシュを獲得!
5人の若者たちの恋愛群像劇『天使の涙』が95%フレッシュを獲得![c] 1995 JET TONE PRODUCTIONS LTD. [c] 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

クールな殺し屋の男と、彼に密かな恋心を抱き、“別れ”を予感しながら仕事を依頼するエージェント。そんななか、殺し屋は大雨の日にマクドナルドで金髪の女に出会い、互いのぬくもりを求める。一方、期限切れのパイナップル缶を食べて口がきけなくなったモウは、失恋したての“失恋娘”と出会い恋に落ち、彼女にある提案を持ちかけることに。

ウォン・カーウァイ作品に欠かせない名カメラマンのクリストファー・ドイルのセンスが活きた夜の香港の街並みの情景と、そのなかを疾走する若者たちのスリリングでロマンティックな生き方。元々は『恋する惑星』のなかの1エピソードとして予定されていた物語であり、金城の演じる役名は同作と同じ。異なる作品であっても登場人物や設定などがリンクしている点は、ウォン・カーウァイ作品を観るうえでの楽しみ方の一つではないだろうか。

ウォン・カーウァイ初のSF作品『2046』は86%フレッシュを獲得
ウォン・カーウァイ初のSF作品『2046』は86%フレッシュを獲得[c] 2004 BLOCK 2 PICTURES INC. [c] 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

その代表的な例として挙げられるのは、91%フレッシュを獲得した『欲望の翼』でマギー・チャンが演じた役名が、『花様年華』で同じくマギー・チャンが演じた役柄に引き継がれていること。さらにその『花様年華』でトニー・レオンが演じた役柄は『2046』へとそのまま引き継がれ、同作ではカリーナ・ラウも『欲望の翼』と同じ役柄で登場するなど、事実上の3部作が成立している。独立した作品として観ることができつつも、続編として観ることもできる。一つの作品に二つの見方を与えるというのは実に魅力的だ。

『花様年華』は、ウォン・カーウァイ作品のなかでも極めて高い評価を獲得した珠玉のラブストーリー。初お披露目の舞台となった第53回カンヌ国際映画祭ではトニー・レオンが最優秀男優賞を受賞し、それを皮切りに英国アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、世界中の映画賞、映画祭で46の賞を受賞。2016年にイギリスのBBCが発表した「21世紀でもっとも偉大な映画100」では第2位に選出され、制作から20年以上経った現在でもその評価は年々高まり続けている。

トニー・レオン、レスリー・チャン、チャン・チェンが共演した『ブエノスアイレス』
トニー・レオン、レスリー・チャン、チャン・チェンが共演した『ブエノスアイレス』[c]1997 BLOCK 2 PICTURES INC. [c] 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

ほかにも映画ファンが愛してやまない傑作『恋する惑星』をはじめ、アルゼンチンの絶景の中で描かれる2人の男の切ないラブストーリー『ブエノスアイレス』。長編監督デビュー作となった『いますぐ抱きしめたい』と、ほとんどの作品が批評家から高い評価を得ていることがよくわかる。初の英語劇でジュード・ロウと歌姫ノラ・ジョーンズが共演した『マイ・ブルーベリー・ナイツ』だけは低評価に終わったものの、随所に『恋する惑星』を想起させる同作もウォン・カーウァイ作品のファンなら見逃せない一本だ。

トニー・レオンがイップ・マンを演じた武術アクション映画『グランド・マスター』以降、10年近くも新作の長編映画を発表していないウォン・カーウァイ監督。近年はプロデューサーとして、『光にふれる』(12)では台湾のチャン・ロンジー監督を、『プアン 友だちと呼ばせて』(公開中)ではタイのバズ・プーンピリヤ監督と、アジアの若手監督の育成に力を入れながら、自身の監督作としてドラマシリーズを手掛けることなどが報じられている。

ウォン・カーウァイの最高傑作と名高い『花様年華』海外版A3ポスター
ウォン・カーウァイの最高傑作と名高い『花様年華』海外版A3ポスター[c] 2000 BLOCK 2 PICTURES INC. [c] 2019 JET TONE CONTENTS INC.ALL RIGHTS RESERVED

また『花様年華』の制作20周年を記念して自らの過去作の4Kレストアプロジェクトにも着手。完成した作品は世界各国で上映されており、日本ではあす8月19日(金)より、特集上映「WKW4K」として『恋する惑星』『天使の涙』『ブエノスアイレス』『花様年華』『2046』の5作品が上映される。

監督自身が「単なる焼き直しではなく、新たに生まれ変わった作品」と語る今回の4Kレストアプロジェクトでは、5作品それぞれの海外版A3ポスターを使用した“ポスタームビチケ”が販売されており、購入したユーザーからSNSを中心に反響が拡散。当時を知らない若い世代からの購入も多く見られたのだという。

南米アルゼンチンが舞台の『ブエノスアイレス』海外版A3ポスター
南米アルゼンチンが舞台の『ブエノスアイレス』海外版A3ポスター[c]1997 BLOCK 2 PICTURES INC. [c] 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

すでに『恋する惑星』と5作品セットが完売となっている“ポスタームビチケ”。販売期間は本日18日の23:59までとなっており、気になる方はお早めにムビチケ公式サイトをチェックしてほしい。

そして来たる明日からの上映では、ウォン・カーウァイ映画をスクリーンで観るという、鮮烈で忘れがたい体験を味わってみてはいかがだろうか。

木村拓哉らアジアスターが集結した『2046』海外版A3ポスター
木村拓哉らアジアスターが集結した『2046』海外版A3ポスター[c] 2004 BLOCK 2 PICTURES INC. [c] 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

文/久保田 和馬

〈WKW 4K〉海外版A3ポスタームビチケ 概要


・販売期間:
第2次 7月27日 00:00 ~ 8月18日(木) 23:59
※8月29日(月)以降の発送になります。

・券種:
ムビチケ前売券(オンライン)

・金額:
『天使の涙 4K』 海外版 A3 ポスタームビチケ 5,000円(送料別)/通常版ムビチケ ¥1,500円
『ブエノスアイレス 4K』 海外版 A3 ポスタームビチケ 5,000円(送料別)/通常版ムビチケ 1,500円
『花様年華 4K』 海外版 A3 ポスタームビチケ 5,000円(送料別)/通常版ムビチケ 1,500円
『2046 4K』 海外版 A3 ポスタームビチケ 5,000円(送料別)/通常版ムビチケ 1,500円
※海外版 A3 ポスタームビチケは数量限定のため、なくなり次第終了となります。

詳細はこちら
https://mvtk.jp/campaign/wkw/

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