
松田凌
西哲郎
2025年没後60年を迎える江戸川乱歩の3作品を、「RAMPO WORLD」と題して長編映画化。原案は、1925年に発表された短編小説「一人二役」。一人の男が妻の気を惹くために別人になりすまし妻の反応を楽しむ乱歩の造語である“奇妙な味”を堪能できる作品。
小劇場の売れない役者・哲郎(松田凌)と、妻で教師の晴(安野澄)の夫婦仲は冷え切っていたが、愛人・茉莉(前迫莉亜)との逢瀬でも哲郎の欲望は満たされなかった。刺激に飢えた哲郎は新たな舞台の脚本を書く中で、後輩の役者・悠介(岩男海史)にある話を持ち掛ける。それは、舞台の主役に抜擢する代わりに、悠介が架空の人物になりすまし、晴を口説くというものだった。哲郎はその様子を脚本のネタにするつもりだった。悠介は最初こそ気が進まなかったが、晴と触れ合うにつれて芝居と現実の間で心が揺れ動いていく。一方、哲郎は自分には見せない晴の素顔を見て、激しく動揺し……。