ボディ・ホラーにスラッシャー、往年の名作まで…今年の第39回東京国際映画祭はホラー映画に注目!
いよいよ10月26日より開幕した第39回東京国際映画祭。今年も世界各国の多くの最新の話題作・注目作が上映されるが、今回はホラー映画が多いのもポイントの一つ。映画祭で上映されるホラー作品をご紹介しよう。
『キャンプ・ミアズマ ティーンのセックスと死』(ガラ・セクション部門)
A24北米配給の『テレビの中に入りたい』(24)のジェーン・シェーンブルン監督最新作。リトルデスというヴィランを据えた80年代の人気スラッシャーホラー『キャンプ・ミアズマ』のリブート版に抜擢された女性監督クリスは、オリジナル版でファイナルガールを演じた女優、ビリーに会うため、彼女が住む太平洋岸北西部の閉鎖されたキャンプ地を訪れる。そこは、かつて『キャンプ・ミアズマ』が撮影された場所だった...。「13日の金曜日」シリーズや『サマーキャンプインフェルノ』(83)といった往年のスラッシャーにオマージュを捧げつつ、セリーヌ・シアマ監督の『燃ゆる女の肖像』(19)にもインスパイアされた、現実と虚構が入り混じるシュールでサイコロジカルなスラッシャー・ホラー。ジリアン・アンダーソン(「X-ファイル」)が出演。音楽は過去2作同様アレックス・Gが担当。今年のカンヌ国際映画祭のある視点部門でワールドプレミア上映された。
『Saccharine(原題)』(オーストラリア・スポットライト)
体重と暴飲暴食に悩む医学生のハンナは、友人からダイエット効果があるというピルを紹介され、摂取するうちに奇跡的に体重が減り中毒になっていくが、そのピルには人間の灰が含まれていることに気づき、次第に彼女は謎の存在の脅威に怯えるようになる...。『レリック-遺物-』(20)、『7A号室』(24)の監督で、日本人の母親を持つナタリー・エリカ・ジェームズの最新作。今年のサンダンス映画祭でワールドプレミア上映され、その後ベルリン国際映画祭でも上映されたボディ・ホラー的要素もあるオリジナルなコンセプトのスーパーナチュラル・ホラー。主演は日本人の血を引くアメリカ人女優ミドリ・フランシス(「ダッシュ&リリー」『グッド・ボーイズ』)。サンダンスでの上映時には失神者も出たという。
『赤死病の仮面』(ワールド・フォーカス)
旧作で注目なのが、1842年に発表されたエドガー・アラン・ポーの短編をベースにしたロジャー・コーマン監督のこのゴシック・ホラー。中世のイタリアを舞台に、プロスペロー王は赤死病が蔓延する中、臣下とともに城砦に閉じこもり饗宴を繰り広げるが、そこに仮面をかぶった謎の人物がやってくる。1960年代にAIP(アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ)が製作したホラーシリーズ8本(そのうちの7本がポーの作品がベース。残り一本はH.P. ラヴクラフト)の一つ。主演はヴィンセント・プライス。撮影監督は『赤い影』(73)、『地球に落ちて来た男』(76)の監督ニコラス・ローグだ。同じポーの短編をベースにしたA24製作・配給の『The Masque of the Red Death(原題)』はマイキー・マディソン、レア・セドゥ主演で今年2月にハンガリーのブダペストで撮影されたが、来年にはお披露目になるだろう。
『The Blood Countess(原題)』(ウルリケ・オッティンガー特集)
ドイツの鬼才ウルリケ・オッティンガーがメガホンを取った、イザベル・ユペール主演のヴァンパイアコメディ。現代のウィーンに出現したバートリ伯爵夫人は、錬金薬とヴァンパイアの脅威となる本を探し始めるが、彼女の甥やヴァンパイア研究家、警察に追われ...。16世紀から17世紀にかけて600人の若い女性を拷問し殺害したと言われているハンガリーの「血の伯爵夫人」バートリ・エルジュベートのミソロジーをベースにしている。2月のベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映され話題を呼んだ。
これ以外にも、コンペティション部門では、バングラデシュを舞台にしたボディ・ホラー的な要素もあるファンタジードラマ『問題だらけの母嫁』や、エヴァ・グリーン主演のトルコのサイコロジカルホラー『木々は見ている』、ジャパン・クラシック部門ではマーティン・スコセッシやアリ・アスターも絶賛する溝口健二監督の幻想的な幽霊譚『雨月物語』(53)のデジタル修復版も上映される。
ちなみにクロージング作品のヨン・サンホ監督のゾンビアクション巨編『コロニー/群体』は、チケットがすでにソールドアウトになっているとのこと。ハロウィン・シーズンのこの時期、東京国際映画祭でホラー映画を観てみるのも一興かもしれない!
文/小林真里

