ただ“泣ける”だけじゃない!『ママがもうこの世界にいなくても』が描く、生きることの美しさ
公開から3日間で約29万人を動員し、週末の全国映画動員ランキングでは初登場1位を記録するという好調なスタートを切った『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』(以下、『ママせか』)。さらに公開から11日目には累計動員数100万人を突破するなど、多くの観客を劇場に呼び込んでいる。
21歳でステージIVの大腸がんを宣告され、24歳の若さでこの世を去った遠藤和さんの実話を基にした本作。彼女が亡くなる10日前まで書き続けた日記を原作に、『溺れるナイフ』(16)の山戸結希監督のメガホンで映画化した。
これまでも、病と向き合いながら生きる実在の女性たちを描いた作品は多くの人々の心を動かしてきた。そこに共通するのは、病気や死の悲しみだけではなく、生きる喜びや希望も描いているということ。『ママせか』もまた、そんな作品の系譜に連なる一作といえる。では、本作のどんなところが観客の心をつかんでいるのだろうか。
限られた時間のなかで、愛する人と夢を叶える姿が胸を打つ
青森で暮らす和(川口春奈)は、恋人の将一(高杉真宙)と幸せな日々を送っていた。しかし、突然のがん宣告によって人生が一変。それでも和は、将一と結婚して家族になり、子どもを授かるという希望を捨てず、限られた時間を懸命に生きようとする。
そんな和の願いを受け止め、共に未来を築こうとする将一。愛する人の夢を叶えたいという強い想いは、余命1か月と宣告された長島千恵さんの闘病生活を基に紡いだ『余命1ヶ月の花嫁』(09)にも通じるものがある。乳がんを患う千恵(榮倉奈々)のために、恋人の太郎(永山瑛太)や周囲の人々が協力して“ウェディングドレスを着る”という彼女の夢を実現。チャペルで純白のベールとドレスに身を包んだ千恵の多幸感に満ちた笑顔は、いまも忘れがたい。
『ママせか』において、和が望む未来を選ぶことは、彼女の命にも関わる重大な決断だ。それでも自分の想いを遂げようとする和と、そんな彼女の希望に寄り添う将一。2人が共に夢を叶え、穏やかな時間を積み重ねていく姿には、最後まで自分らしく生きたいという和の切実な想いがにじむ。だからこそ2人が手にした幸せの一つ一つが、いっそう尊く心に迫ってくるのだろう。
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